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  1. 山形県議会 2005-02-01
    03月04日-05号


    取得元: 山形県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    平成17年  2月 定例会(第323号)  平成十七年三月四日(金曜日) 午前十時零分 開議議事日程第五号  平成十七年三月四日(金曜日) 午前十時 開議第一   議第三十五号 平成十七年度山形県一般会計予算第二   議第三十六号 平成十七年度山形県公債管理特別会計予算第三   議第三十七号 平成十七年度山形県市町村振興資金特別会計予算第四   議第三十八号 平成十七年度山形県母子寡婦福祉資金特別会計予算第五   議第三十九号 平成十七年度山形県小規模企業者等設備導入資金特別会計予算第六   議第四十号 平成十七年度山形県土地取得事業特別会計予算第七   議第四十一号 平成十七年度山形県農業改良資金特別会計予算第八   議第四十二号 平成十七年度山形県沿岸漁業改善資金特別会計予算第九   議第四十三号 平成十七年度山形県林業改善資金特別会計予算第十   議第四十四号 平成十七年度山形県流域下水道事業特別会計予算第十一  議第四十五号 平成十七年度山形県港湾整備事業特別会計予算第十二  議第四十六号 平成十七年度山形県電気事業会計予算第十三  議第四十七号 平成十七年度山形県工業用水道事業会計予算第十四  議第四十八号 平成十七年度山形県公営企業資産運用事業会計予算第十五  議第四十九号 平成十七年度山形県水道用水供給事業会計予算第十六  議第五十号 平成十七年度山形県駐車場事業会計予算第十七  議第五十一号 平成十七年度山形県病院事業会計予算第十八  議第五十二号 山形県職員等の給与に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十九  議第五十三号 山形県行政機関の設置等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十  議第五十四号 議会の議員の報酬並びに知事等及び職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十一 議第五十五号 山形県公の施設に係る指定管理者の指定の手続等に関する条例の設定について第二十二 議第五十六号 山形県外部監査契約に基づく監査に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十三 議第五十七号 山形県個人情報保護条例等の一部を改正する条例の設定について第二十四 議第五十八号 山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定について第二十五 議第五十九号 東田川郡庄内町の設置に伴う関係条例の整理に関する条例の設定について第二十六 議第六十号 鶴岡市の設置に伴う関係条例の整理に関する条例の設定について第二十七 議第六十一号 山形県統計調査条例の一部を改正する条例の制定について第二十八 議第六十二号 山形県郷土館条例の一部を改正する条例の制定について第二十九 議第六十三号 山形県国際交流センター条例の一部を改正する条例の制定について第三十  議第六十四号 山形県男女共同参画センター条例の一部を改正する条例の制定について第三十一 議第六十五号 置賜文化ホール条例の一部を改正する条例の制定について第三十二 議第六十六号 山形県立大学授業料等徴収条例の一部を改正する条例の制定について第三十三 議第六十七号 山形県生涯学習センター条例の一部を改正する条例の制定について第三十四 議第六十八号 山形県立自然博物園条例の一部を改正する条例の制定について第三十五 議第六十九号 山形県志津野営場条例の一部を改正する条例の制定について第三十六 議第七十号 山形県保健所及び山形県衛生研究所使用料手数料条例の一部を改正する条例の制定について第三十七 議第七十一号 山形県介護学習センター条例の一部を改正する条例の制定について第三十八 議第七十二号 山形県立保護施設設置条例の一部を改正する条例の制定について第三十九 議第七十三号 山形県身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例の制定について第四十  議第七十四号 山形県知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例の制定について第四十一 議第七十五号 山形県身体障害者保養所条例の一部を改正する条例の制定について第四十二 議第七十六号 山形県福祉休養ホーム条例の一部を改正する条例の制定について第四十三 議第七十七号 山形県結核診査協議会条例の一部を改正する条例の制定について第四十四 議第七十八号 山形県薬事審議会条例の一部を改正する条例の制定について第四十五 議第七十九号 山形県産業科学館条例の一部を改正する条例の制定について第四十六 議第八十号 山形県国民宿舎条例の一部を改正する条例の制定について第四十七 議第八十一号 山形県県民の海・プール条例の一部を改正する条例の制定について第四十八 議第八十二号 山形県観光情報センター条例の一部を改正する条例の制定について第四十九 議第八十三号 山形県漁港管理条例の一部を改正する条例の制定について第五十  議第八十四号 山形県卸売市場条例の一部を改正する条例の制定について第五十一 議第八十五号 山形県牧野条例の一部を改正する条例の制定について第五十二 議第八十六号 山形県改良普及員資格試験条例等を廃止する条例の設定について第五十三 議第八十七号 山形県林業改良指導員資格試験条例を廃止する条例の設定について第五十四 議第八十八号 山形県県民の森条例の一部を改正する条例の制定について第五十五 議第八十九号 山形県眺海の森条例の一部を改正する条例の制定について第五十六 議第九十号 山形県源流の森条例の一部を改正する条例の制定について第五十七 議第九十一号 山形県遊学の森条例の一部を改正する条例の制定について第五十八 議第九十二号 山形県都市公園条例の一部を改正する条例の制定について第五十九 議第九十三号 山形県空港管理条例の一部を改正する条例の制定について第六十  議第九十四号 山形県港湾施設管理条例の一部を改正する条例の制定について第六十一 議第九十五号 山形県ふるさと交流広場条例の一部を改正する条例の制定について第六十二 議第九十六号 米沢ヘリポート条例の一部を改正する条例の制定について第六十三 議第九十七号 山形県普通河川取締条例を廃止する条例の設定について第六十四 議第九十八号 山形県建築基準条例の一部を改正する条例の制定について第六十五 議第九十九号 山形県特定優良賃貸住宅条例の一部を改正する条例の制定について第六十六 議第百号 山形県すまい情報センター条例の一部を改正する条例の制定について第六十七 議第百一号 山形県高等学校奨学基金条例の設定について第六十八 議第百二号 山形県立高等学校等及び小学校、中学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例の制定について第六十九 議第百三号 山形県文化財保護条例の一部を改正する条例の制定について第七十  議第百四号 山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館条例の一部を改正する条例の制定について第七十一 議第百五号 山形県警察職員定数条例の一部を改正する条例の制定について第七十二 議第百六号 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例の制定について第七十三 議第百七号 山形県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第七十四 議第百八号 山形県駐車場料金条例の一部を改正する条例の制定について第七十五 議第百九号 山形県ゴルフ場料金条例の一部を改正する条例の制定について第七十六 議第百十号 東田川郡立川町及び同郡余目町を廃し、その区域をもって同郡庄内町を置く処分について第七十七 議第百十一号 鶴岡市、東田川郡藤島町、同郡羽黒町、同郡櫛引町、同郡朝日村及び西田川郡温海町を廃し、その区域をもって鶴岡市を置く処分について第七十八 議第百十二号 流域下水道の維持管理を行う事業に要する費用の負担について第七十九 議第百十三号 流域下水道の維持管理を行う事業に要する費用の負担の一部変更について第八十  議第百十四号 包括外部監査契約の締結について第八十一 議第百十五号 全国自治宝くじ事務協議会規約の一部変更について第八十二 議第百十六号 関東・中部・東北自治宝くじ事務協議会規約の一部変更について第八十三 県政一般に関する質問第八十四 請願本日の会議に付した事件 議事日程第五号に同じ。出席議員(四十五名)    一番 和嶋未希君    二番 木村忠三君    三番 村山 隆君    四番 奥山誠治君    五番 海鋒孝志君    六番 青柳信雄君    七番 小池克敏君    八番 中川 勝君    九番 寒河江 信君    十番 小野幸作君   十一番 笹山一夫君   十二番 吉田 明君   十三番 星川純一君   十四番 児玉 太君   十五番 金澤忠一君   十六番 伊藤重成君   十七番 舩山現人君   十八番 田澤伸一君   十九番 森田 廣君   二十番 坂本貴美雄君  二十一番 加藤国洋君  二十二番 寒河江政好君  二十三番 吉泉秀男君  二十四番 広谷五郎左エ門君  二十六番 佐藤藤彌君  二十七番 澤渡和郎君  二十八番 志田英紀君  二十九番 野川政文君   三十番 阿部賢一君  三十一番 鈴木正法君  三十二番 佐貝全健君  三十三番 平 弘造君  三十四番 山科朝雄君  三十五番 田辺省二君  三十六番 太田忠藏君  三十七番 土田広志君  三十八番 伊藤 孜君  三十九番 大内孝一君   四十番 阿部信矢君  四十一番 今井榮喜君  四十二番 土屋健吾君  四十三番 松浦安雄君  四十四番 松沢洋一君  四十五番 後藤 源君  四十六番 武田 誠君欠席議員(一名)  二十五番 前田利一君説明のため出席した者  知事          齋藤 弘君  副出納長        安孫子昂也君  企業管理者       細野武司君  病院事業管理者     横山紘一君  総務部長        本間正巳君  危機管理監       今井眞哉君  文化環境部長      石山義信君  健康福祉部長      佐藤洋樹君  商工労働観光部長    岡村健司君  農林水産部長      高橋 節君  土木部長        池田 隆君  財政課長        宍戸邦久君  教育委員会委員長    伊藤晴夫君  教育長         日野雅夫君  公安委員会委員長    吉田美智子君  警察本部長       多湖 令君  代表監査委員      加藤淳二君  人事委員会委員長    古澤茂堂君  人事委員会事務局長   大津保信君  労働委員会事務局長   鈴木正道君         午前十時零分 開議 ○議長(松浦安雄君) これより本日の会議を開きます。 △日程第一議第三十五号議案から日程第八十二議第百十六号議案まで及び日程第八十三県政一般に関する質問 ○議長(松浦安雄君) 直ちに日程に入ります。 日程第一議第三十五号平成十七年度山形県一般会計予算から、日程第八十二議第百十六号関東・中部・東北自治宝くじ事務協議会規約の一部変更についてまでの八十二案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第八十三県政一般に関する質問をあわせいます。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 十五番金澤忠一君。 ◆15番(金澤忠一君) おはようございます。まずもって、今定例会におきまして一般質問の機会を与えていただいたことに、心から感謝を申し上げます。 さて、昨年は、国内外とも史上まれに見る大災害の多い年であり、心痛める年でもありました。国内においては、十月に発生した新潟県中越地震で多くの犠牲者が出るなど、春近しといえども、いまだ罹災された方々は大雪の中で越冬を余儀なくされている現状にあります。また、国外においても、スマトラ沖大地震によるインド洋津波は世界じゅうを恐怖に陥れ、約二十八万人を超える犠牲者に及んでいると報道されております。一日も早い復旧を願わざるを得ません。 迎えて新年は、正月早々に、今後の県政を担う県知事選挙が寒さ厳しい豪雪の中行われました。激戦を制して当選なされました齋藤新知事に心からお祝いを申し上げます。 また、同時に、県議会議員補欠選挙において当選されました青柳信雄さんにもあわせてお祝いを申し上げますとともに、今後の御活躍を御期待申し上げ、早速ですが質問に入らせていただきます。 初めに、本県の教育行政について何点か質問させていただきます。 去る二月十五日に開催された中央教育審議会の総会において、中山文部科学相は、ゆとり教育を柱としてきた現行の学習指導要領についてことし秋までに全面的に見直すよう指示されたところであります。求められた主な内容は、学校完全週五日制の導入に伴う土曜日や長期休業日の利用方法、総合的学習については、各教科と総合的学習の授業時数をどうするか、また、学力観については、生きる力をはぐくむとしているが、その達成の手だてが講じられているかなど、義務教育のあり方や教育課程について検討がなされるようであります。 全国でゆとり教育が展開されている中、平成十四年度から、本県独自教育事業として少人数学級編制とする教育山形さんさんプランが小学校を対象に導入され、本年度までの三カ年で対象小学校全校が完全実施に移行されたところであります。昨年度の不登校児出現率は、プランを導入する前の平成十三年度より〇・〇七%減少し大幅に改善がなされた一方、偏差値においてもアップし、文部科学省を初め、県内外の教育関係者からも高く評価されているところであります。それらを踏まえて、県教育委員会では、平成十七年度から中学一年生も対象に一律導入の意向を示していたようでありましたが、知事は、さきの予算編成調整会議の折に、中学校へのさんさんプランの導入は、これまでの効果・検証が必要として、一律導入でなく、新たに提案をされた主要教科でチームティーチングなどを行う副担任制導入を明言しながらも、学校長の判断によっては少人数学級編制も選択することができるとしております。 機を同じくして見直しが行われようとしている国のゆとり教育、本県の教育事業を総合的に判断し、今後どう教育行政に取り組もうとしているのか、知事の御所見をお伺いいたします。 関連して、教育長にお伺いいたします。 先般、私どもの地元中学校において、地域代表者、PTA及び学校関係者による教育懇談会が開催されました。そこでの意見は、副担任制と少人数学級編制の選択裁量を各学校長に任されたことから、選択肢によって各学校の授業体系が異なり格差が生じるのではないか、また、学校長が異動することによって新たな混乱を招くおそれがないかなど、保護者から不安視されているようであります。新学期を目前に控えて教育現場をどのように把握されているのか、また、学校長の裁量によるこの選択肢制度を何年間導入し続けようと考えているのか、あわせてお伺いいたします。 続いて、教育環境問題について質問させていただきます。 ことしで少人数学級対象小学校が完全移行したことに伴い、三年間で二百十一学級がふえ、二十七学校で増改築を余儀なくされました。急務とされた学校では、校庭やグラウンドに増築したり、特別教室を改造したりと、教育現場では四苦八苦しているようであります。増築されたとしても、プレハブ校舎であるために耐震性はどうなのか、また、一部学校ではシックスクール病状に悩まされ使用不可能になったり、どう見ても健全な教育環境とは言いがたいような実情にあります。少人数学級の導入の段階で生徒数の推移動向を的確に把握し、迅速な対応が必要であったのではないかと思われますが、今後、中学校も含めてどう対処しようとしているのか、お伺いいたします。 また、教師の資質向上を図るため魅力ある教師づくりに取り組もうとしておりますが、総合的な観点からの諸施策をどう検討されようとしているのか。このたびの予算編成において、当初、県教育委員会では、生徒数が多い五十八校に対して少人数学級の導入対象校とする人件費を六千万円と見積もっていたようでしたが、三十三人以下のクラス編制が可能でありながら少人数学級適用の対象外であった六十八校も選択制で副担任制を選ぶとなった場合、最大限の経費は二億二千五百四十三万円と、約四倍に膨れ上がるようであります。未来の人づくりを担う教育と位置づければ否定するものではありませんが、県財政の厳しい状況を考慮すれば、知事が公約された費用対効果の検証は必然であろうと思われます。 教育予算についても、受ける生徒の立場、教える教員の立場、それに教育を取り巻く環境が一体となって初めて教育の充実向上が図られるものと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 続いて、安全安心な農産物の生産についてお伺いいたします。 本県においては、平成十四年に全国的な規模で発生した無登録農薬問題を契機として、日本一安全で安心な農産物づくりに県民を挙げて推進してきたことは御承知のとおりであります。果樹、野菜を対象とした出荷前の残留農薬分析やキュウリの土壌残留性農薬対策など、全国に先駆けた取り組みを実践してきたわけであります。生産者からは、これまでの取り組みに対して、時には厳し過ぎるといった声もあったことは事実でありますが、県産農産物に対する消費者の信頼を取り戻すにはやむを得ないとの一念のもとに、生産者は歯を食いしばって頑張ってきたのであります。幸いに、最近では県産農産物に対する信頼を揺るがすような大きな事件は耳にしなくなりましたし、産地内にも大分落ちつきが出てきたと感じております。また、山形県安全・安心農産物生産流通システム管理委員会においては、これまでの取り組みをさらに前進させ、生産者や集荷団体等安全性管理の取り組みを第三者によって検証・評価し、その取り組みを市場や消費者にアピールするシステムの検討を進めてきたと聞いております。全国屈指の農産物産地である本県としては、他の産地に先駆けてこれらの取り組みを推進すべきと考えておりますが、実際にこれを実行する集荷団体や農家に対する県の支援も欠かせないと思われます。 そこで部長にお伺いいたします。本県における県産農産物の安全性確保対策に関するこれまでの取り組みと、来年度以降の具体的な取り組みについてお伺いいたします。 二点目として、県産農産物の流通販売対策についてお伺いいたします。 山形県の農産物は、品質はよいけれどもPRがうまくないとか知名度がいま一つ上がらないと言われております。首都圏などの消費者に県産農産物のよさを知ってもらうためにも、また、流通販売業者に継続的に扱ってもらうためにも、産地の情報を丁寧に伝えることが重要だと思います。こうしたことから、県では、平成十三年度より東京事務所流通情報室を設置し、また、平成十五年度には大阪事務所にも担当者を配置して、市場などの流通情報の収集や産地情報の伝達を行っているわけですが、これまでどのような成果が上がっているのか、また、課題があるとすればどのようなことなのか、農林水産部長にお伺いいたします。 次に、知事にお伺いいたします。 知事は、日本一の品質基準を目指す県独自の山形基準を策定して、これを満たす県産品を山形セレクションとして認定し、みずからがトップセールスマンとして首都圏などに売り込みに行くと言っておられます。知事がおいしい山形のシンボルマーク「ペロリン」の旗を持って売り込みを行うことは、県産農産物を広く宣伝するためにも有効な手段であり、大きな成果が期待できると思います。なお、知事みずからが県産農産物の消費宣伝活動を行うことを重要としながらも、量販店や外食・中食業者に対して継続的に県産農産物の販売活動を展開するためには、現在、東京事務所大阪事務所で活動している県職員だけでなく、東京や大阪に常駐しているJA職員、それからマーケティングプランナーなどのプロも加えてプロジェクトチームを編成し、関係者が一体となって活動していけば、知事の活動とも相まって流通販売拡大に一層の効果が上がると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、知事も公約の中で触れられております雇用問題についてお聞きしたいと思います。 雇用情勢の一指標であります有効求人倍率を見ますと、本県では、平成十五年度後半以降、デジタル製品関連の製造業に牽引される形で緩やかに改善傾向が続いており、本年一月には〇・九四倍と、平成十年三月以降では最高の数値となっており、東北でも唯一全国平均を上回っております。しかしながら、一方では、公共事業の減少で依然厳しい経営環境が続く建設業や、有効求人倍率が〇・六二倍と回復がおくれている最上地域の問題など、産業構造の変化に伴い業種間や地域間での雇用環境の格差が顕在化してきており、地域の実態等を踏まえたきめ細かい雇用対策が強く求められているところであります。知事におかれましては、景気浮揚と雇用創出の必要性を強調されておられるところであり、雇用対策のさらなる充実に御期待を申し上げるところであります。 このような中、先月十八日、山形労働局より、本年一月末現在における今春高等学校卒業予定者の就職状況が発表されました。求人数、内定率ともに昨年の数値を上回っており、一安心したところでありますが、新規高等学校卒業者の雇用環境を長期的にとらえた場合、企業間競争の激化を背景にした企業の即戦力志向の強まり、パートなど非正社員や派遣、業務委託の拡大など雇用の質の変化、本県高校生の就職の受け皿の中心となっている製造業について生産拠点の海外移転などに伴う求人数の減少など、非常に厳しい状況が続いております。また、ここに来て、デジタル製品や半導体関連の製造業の在庫調整など、景気の足踏み状態も指摘されているところであります。 夢と希望に満ちながら社会へと旅立つ高校生が希望する職業につくことは、県民がひとしく願うところであり、本県産業の担い手となる人材を育成し、活力ある県づくりを進める意味でも大切であります。もとより、高校生の就職については、高校生自身がしっかりした勤労観、職業観を持ちながら、社会人として基本的な能力を身につけることが基本となりますが、県教育委員会を初めとする学校関係者やハローワークなどの労働関係機関、経済団体などの関係者、関係機関が連携して取り組むことが重要であります。 このような中、県では、昨年六月、若者の就職を高校在学中から職場定着まで総合的に支援する若者就職支援センターを開設したところであります。若者就職支援センターについては、山形市と酒田市に相談窓口が設置され、若年失業者の就職などに大きな成果を上げているとお聞きしておりますが、高校在学生に対する就職支援も大きな役割と考えられます。若者就職支援センターによる高校生の就職促進に向けた役割と具体的取り組みについて、商工労働観光部長にお伺いいたします。 また、本人や関係者の努力にもかかわらず、残念ながら今年度中に就職できない高校生も生じると思います。いわゆる新規高卒未就職者対策をどのように進めていくつもりか、あわせて商工労働観光部長にお伺いいたします。 次に、青少年行政の取り組み方針についてお伺いいたします。 青少年は、社会の希望であります。山形県のあすを担い、地域の将来を築いていくのは彼らであります。しかし、青少年は、一般的に人間関係を構築する力が乏しく、自己中心的で、他人のことや地域や社会の動向などに無関心で社会性が欠如していると言われており、そういった若者特有の課題について大人や社会が家庭や学校、地域できちんと受けとめ、次代を担う若者の心をはぐくんでいくような取り組みが極めて大切なことと考えております。 ところで、最近における社会の変化は目まぐるしいほどであり、これに付随して青少年を取り巻く状況も大きく変化してきております。新しい情報機器の普及により、ポケベルは携帯電話に、テレホンクラブは出会い系サイトというように、驚くばかりの速さで変化してきており、さらに、インターネット社会の急速な浸透により、青少年は情報の洪水の中でおぼれんばかりであります。このような変化の中で、青少年の規範意識の喪失や命の尊厳に対する敬意の喪失が顕著になってきており、また、引きこもり、ニートなどが社会問題化となっていることから、その対応が求められております。 青少年を取り巻く環境が悪化しているためか、新聞やテレビで青少年が関係する事件について報道されない日がないほどであります。つい最近も、奈良で小学生が誘拐されて殺害されるという痛ましい事件が起きたかと思うと、十七歳の少年が母校の先生を殺傷するという常識では推しはかれないような事件が発生しております。また、昨年、女子小学生が同級生をインターネットの書き込みをめぐるトラブルで殺害するという事件が発生したことも記憶に新しいところであります。幸い、本県においては、今のところこうした痛ましい事件は起こっておりませんが、それでも安心していられる状況ではありません。県においては、大人が変われば子どもも変わる県民運動を展開してきていることは承知しておりますが、県や市町村、それに民間の健全育成団体などが一体となって、全県的な青少年健全育成の取り組みが必要と考えられます。 青少年の健全育成に関する基本的な取り組みの方針について、知事の御所見をお伺いいたします。 続いて、有害図書類の販売規制についてお伺いいたします。 青少年を取り巻く環境が悪化している中、青少年に有害な図書類やビデオテープなどを収納している自動販売機が子供たちの目につく通学路や屋外に設置されており、青少年の健全育成に大きな影響を与えております。また、この有害な図書類を販売する自動販売機は、地域の環境を浄化したいという地域住民の願いとも相入れないものであります。一般の書店などにおいては、有害な図書類も区分陳列などが守られて、青少年の目には触れないような配慮が徹底されてきており、大変結構なことだと思いますし、今後も書店などの指導についてよろしくお願いしたいというふうに思います。 現在、山形市には、有害図書類にかかわる自動販売機が十数台設置されているようであります。地域によっては、青少年健全育成連絡協議会やPTA、町内会などが、青少年に買わせない、読ませないための巡回活動や自動販売機の撤去に向けた活動を行っておりますが、自動販売機を撤去させるまでには至っておりません。聞くところによれば、全国的に遠隔監視自動販売機が増加しており、業者は、「この自動販売機は、遠隔監視のモニターで二十四時間年齢チェックを行い青少年には販売しない体制をとっているので、青少年保護条例で規制されるべき自動販売機には該当しない」と主張しているようであります。他県においては、これらの遠隔監視自動販売機も条例の規制を受ける自動販売機であることを明確にするため、定義規定を設けるなどいろいろな取り組みをしているようであります。 本県の青少年保護条例には、こうした遠隔監視自動販売機が条例で規制する自動販売機に該当するという明確な定義規定がないことから、自動販売機の条例による販売規制について県警と協議されているという話を聞いておりますが、青少年保護条例の改正についてどのように考えているのか、文化環境部長にお伺いいたします。 最後に、児童虐待の現状と対応についてお伺いいたします。 警察庁の統計によりますと、全国における昨年一年間の子供の虐待は、発生件数、被害者数ともに統計をとり始めた一九九九年以降で最多を記録し、虐待で死亡した十八歳未満の子供は、前年比二割増の五十一人にも達しております。二〇〇〇年十一月の児童虐待防止法の施行にもかかわらず、子供に対する暴力は依然拡大傾向をたどっているとのことであります。 県内においても例外ではなく、県健康福祉部のまとめによると、児童相談所が受理した児童虐待の相談件数は、本年一月末現在で百七十六件に達し、前年同期に比べて倍増しており、二〇〇〇年度の過去最多件数である年間百六十八件を更新しております。虐待を受けた児童は、就学前の児童が九十件と最多で、次いで小学生が五十九件、中学生が十九件となっており、虐待者は、実母が最も多く百十九件で全体の約七割を占め、実父が三十七件、同居人、その他が二十件とのことであります。虐待の内容を見ると、殴るけるの暴力を振るう身体的虐待が八十八件で半数を占め、食事を与えない、学校に行かせない、医療を受けさせないといった保護の怠慢・拒否が七十件、ひどくしかりつける、兄弟間の差別など心理的虐待が十五件、性的虐待が三件ということであります。 平成十二年に、置賜地方で、二十五歳になる父親と二十三歳の母親が、三歳の男の子に対して日ごろから満足に食事を与えないなど監護を怠り、栄養失調による慢性的な衰弱状態に陥らせ、男の子が死亡するおそれがあることを知りながら医師による診療などの監護の措置をとらず栄養失調により死亡させたという衝撃的な事件が発生しました。その後も、平成十五年には、当時五歳の男の子に日常的に暴力を振るって死亡させ村山市の山中に遺棄した事件など、児童虐待が深刻な社会問題となっております。 虐待が深刻化するメカニズムなどについて実証分析研究を行った結果、虐待が深刻化する原因として、「子供はこうあるべきだ、こう育ってほしい」という強い思い込みや期待を抱き、そのような要求が子供の状態に見合っているかどうかを検討せずに子供に押しつけ、一方では、子供は時として親から受けた虐待を自分に対する悪意ある行為とは受けとめず、愛情の一つとして意味づけ、親の要求にこたえようとすることも少なくないことから、虐待が深刻化してしまうことがあるとのことであります。 また、近隣や家族との関係が悪く、子供の通う保育園や学校からの働きかけを拒否するなど、家族が社会から孤立している場合が少なくないことも原因の一つに上げられております。つまり、虐待は、家庭という閉じ込められた空間で発生し、次第に深刻化する傾向にあるため、関係機関が介入する端緒を発見しにくい場合が多く、それだけに虐待の早期発見と適切な対応が急務とされており、地域の協力も必要とされているわけでありますが、本県においては、児童虐待の現状をどうとらえ、行政機関として地域とどのように連携を図っておられるのか、健康福祉部長にお伺いいたします。 また、これらの事案が発生しますと、児童相談所と警察の連携について取りざたされる場合が多いわけでありますが、ふだんからどのような連携をとっておられるのか、地域の情報が集まりやすい交番や駐在所等との連携も含めて、警察本部長にお伺いいたします。 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきますが、知事初め執行部の皆様方の前向き、また誠意ある御回答をお願い申し上げます。 ○議長(松浦安雄君) 齋藤知事。 ◎知事(齋藤弘君) ただいま金澤議員からの御質問四つございましたので、順次お答えさせていただきます。 まず最初に、今後の教育行政の推進についてのお尋ねでございました。 私は、これまでの本県教育の積み重ねを踏まえまして、その財産を生かしながら、「教育の質・日本一」の山形を目指してまいります。 このほど、中学校教育の充実について御提案申し上げておりますけれども、中学校については、教育の質の向上を基本に据えながら、学習面での重点教科の副担任制と、生活面でのスクールカウンセラー・教育相談員の充実・拡大配置、それから野外体験学習の拡充・充実とをセットで考え、学力と社会力の向上を目指した教育を充実してまいります。また、小学校では、これまでの少人数授業をさらに効果的にしていく必要があります。いずれにしましても、教師の質を高めることが最も大切でありますので、魅力ある教師づくりに取り組みつつ、少し時間をかけながらそれぞれの効果を検証して、よりよい姿にしてまいりたいと考えております。 今後は、教育の現場とも言える学校でしっかりとした考えを持って取り組んでもらう必要があります。特に、各校長は学校の課題をしっかりととらえ、家庭や地域の意見をしっかりと受けとめ、マネジメント能力を発揮しながらいかなるアプローチが次の世代を担う子供たちにとって最もふさわしいのかという観点から、適切な判断を行い、全体として教育の質を上げていくことが大切であると考えております。現在、第三期中央教育審議会の中で、学習指導要領や義務教育費国庫負担制度を初めとする課題についての検討が行われておりますが、山形の歴史と文化、精神風土などの山形らしさを根底に置いて喫緊の課題に対応していくような教育を教育委員会とともに検討しながら実現してまいりたいと考えております。 続きまして、教育環境の整備についてのお尋ねでございました。 教育は人なりと言われるように、最大の教育環境は教師であります。魅力ある教師を育てることこそが私の基本的な教育理念であり、そのことによって教育の諸課題の解決に取り組んでいくことができるものと考えております。そのためには、現在の研修を整理・見直したり、地域で社会人として活動したりすることなどが大切だと考えておりますが、まず、教員の資質・能力の向上という視点で教育の諸施策を考えていきたいと考えております。 同様に、教育環境を整備していくことも非常に大切なことだと考えております。小学校における少人数学級制を実施するかどうかについては、諸条件を考慮しながら市町村で判断し、県教育委員会が同意するということになっており、教室の確保などについては、各市町村の責任において対応いただいているところであります。なお、中学校一年生の該当校すべてが少人数学級制を行った場合でも、教室が不足する学校はないようであります。 中学校における学習面に対する課題への対応として、重点教科副担任制の導入を提案しておりますけれども、これは一学年全体に対して主に数学または英語などの教員を一人配置するものであり、生徒の立場から見たとき、一人一人がきめ細かな指導を受けることができるという点で大きな効果があるというふうに考えております。そして、これまでさんさんプランが市街地偏重の感があったのに比べまして、小・中規模校の教育環境は大きく改善すると思われます。また、重点教科副担任制により、チームティーチングなどによる授業が行われるわけでありますけれども、チームで授業の計画・実践・評価・改善、すなわちプラン・ドゥー・チェック・アクトを行っていくところに意味があるのであります。ここに教員同士の学び合いというのが生まれます。ここが重要なのであります。日々の実践の中で生きた研修が行われ、このような実践型の研修の中でこそ教師の資質・能力がよりよく向上していくと考えます。 今後、教育委員会には、生徒、教員両方の立場から効果を検証し、充実した教育施策を展開していただきます。いずれにしましても、新しい施策を展開する場合には教育を取り巻く環境を考え、準備を怠りなくしっかりと行って、教育に対する効果を上げてまいりたいと考えております。 次に、関係者一体となった消費宣伝活動についてのお尋ねでございました。 大消費地でございます首都圏、関西圏における県農産物の消費宣伝活動を展開するため、おいしい山形推進プランに基づき、平成十三年度から職員を常駐させております。これに先んじて、昭和二十年代から系統出荷団体である全農山形並びに全農庄内も東京・大阪に事務所を置き、市場・卸などを対象に販売促進活動や流通対策に取り組んできたことは御案内のとおりでございます。今回の取り組みは、まさにこうした民間の実績と行政の新たな視点を有機的に結びつけることにより活動の幅を広げることが第一歩となるところでありました。具体的には、首都圏などで開催される各種イベント、販売促進活動などでの協力や市場関係者との流通情報交換会などできちんと連携できる体制が既に構築されているところであります。 私が掲げております攻めの農業を展開するためには、こうした基盤に立って市場などの情報を迅速に収集し、生産活動に反映させるほか、市場動向などを踏まえまして生産された県産品の評価向上の取り組みの中でトップセールスも重要なことというふうに位置づけております。すなわち、農業を生産・加工・流通・販売といった各ステージととらえた上で、それぞれが市場などという情報を媒介に相互的にかつ有機的に関連・影響し合うダイナミックな総合産業としてその育成に取り組む、それが関係者一体となった消費宣伝活動につながるということであります。 具体的な活動に向けては、議員からの御提案も参考にさせていただき、効果を上げてまいる所存であります。 最後に、青少年行政の取り組み方針についてのお尋ねでございました。 青少年の健全育成は、県民すべての願いであるとともに、本県の将来を確かなものにしていくために真剣に取り組んでいかなければいけない課題であります。 最近の青少年の状況は、いじめや児童虐待、青少年が関係する重大事件の発生、さらには、就労する意思がなく学校機関にも所属しないニートと呼ばれる若者の増加など、多くの問題が指摘されているところであります。これらの課題に対処していくためには、第一点目として、子供自身の生きる力をどうはぐくんでいくのか、第二点目として、大人や地域社会が青少年健全育成にどうかかわっていくのかということが大切だと考えております。 まず、第一点目については、子供たちに自然との触れ合いやボランティアなどを体験させるとともに、職場体験などを通じて勤労観や職場観をはぐくむキャリア教育にも力を入れ、社会人、職業人として雄々しく生きていく力を養ってまいりたいと考えております。第二点目については、大人が変われば子どもも変わる県民運動の実践者を地域のおじさん、おばさんとして登録していただく取り組みを進め、声かけ運動、モラル・マナーの向上運動、子供を事故や犯罪から守る運動の輪を一層広げていきたいと考えております。このような取り組みを、市町村、あすをきずく青少年県民会議、民間事業者など多くの皆様からの御協力を得ながら実践していくことにより、若者がすくすくと育つ豊かで活力のある山形を全力でつくってまいる所存であります。 以上、ありがとうございます。 ○議長(松浦安雄君) 石山文化環境部長。 ◎文化環境部長(石山義信君) 有害図書類の販売規制についてでございます。 図書類の自動販売機につきましては、書店での販売と異なりまして青少年が自由に購入できることから、平成十年三月に青少年保護条例を改正いたしまして、自動販売機設置の事前届け出を義務づけるとともに自動販売機への有害図書類の収納を禁止しております。このことにより、三百台近くありました自動販売機が平成十七年一月末には百九十一台まで減少しております。 他県におきます図書類の自動販売機に対する取り扱い状況でございますけれども、最近全国的に問題となっております遠隔監視装置つき自動販売機を対象といたしまして、十都府県で条例に定義規定を設けまして、条例で規制する自動販売機であることを明確にしております。一方、業者の方は、この自動販売機は遠隔監視のモニターで二十四時間監視を行い青少年には販売しない体制をとっているので、青少年保護条例で規制されるべき自動販売機に該当しないと主張しております。 有害図書類を収納している自動販売機をなくすためには、土地を貸さないということが一番かと思いますけれども、遠隔監視装置つき自動販売機は条例で規制する自動販売機に該当するということを明確にする定義規定を設けるということも有効な方法であると思いますので、前向きに検討を進めていきたいというふうに考えております。 ○議長(松浦安雄君) 佐藤健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(佐藤洋樹君) 児童虐待の現状と早期発見に向けた地域との連携についてお答えを申し上げます。 本県の児童虐待につきましては、平成十六年度の相談件数が既に過去最多となるなど深刻な状況にあると認識してございます。増加の要因としては、一概には申せませんが、法改正により虐待のおそれのある場合も通告の対象となったことによりまして、特に小・中学校での速やかな対応による通告件数の増が目立ってきているものと分析しているところでございます。 虐待の防止には、議員御指摘のとおり、早期発見・早期対応が何よりも肝要でございます。そのためには、地域の中で子育て家庭を孤立させないことが極めて重要でありますので、そうした観点に立って、保健師によります新生児訪問でありますとか地域子育て支援センターでの相談指導、また、各市町村の児童虐待防止ネットワークの充実などに鋭意取り組んできているところでございます。さらに、今年度は、地域全体で子育て支援を行う機運を高めていくことを目的といたしまして、小学校区域の住民の方々が虐待防止活動をみずから企画し実践する地域連携のモデル事業も実施しているところでございまして、その成果を今後の施策に生かしていきたいというふうに考えているところでございます。 また、この四月からは、児童福祉法の改正によりまして、市町村でも児童相談に応じられるようになりますことから、相談件数の増加も見込まれますので、県としても、市町村の体制づくりを支援し連携を強化いたしますとともに、地域からの多様な相談に適切かつ迅速に対応するため県児童相談所の夜間相談体制を充実するなど、虐待防止に向けた取り組みを一層強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。 ○議長(松浦安雄君) 岡村商工労働観光部長。 ◎商工労働観光部長(岡村健司君) 新規高卒者の就職対策についてのお尋ねをいただきました。 まず、若者就職支援センターの高校生の就職の促進に向けた取り組みという点でございます。 金澤議員からの御指摘のとおり、高校在校生に対する就職の支援といったこともセンター設置の大きな目的の一つであると考えております。高校生が厳しい就職環境に置かれる中で、キャリア教育が重要であるという点、先ほど青少年行政について知事からの答弁にもあったとおりでございます。センターといたしましても、このキャリア教育に取り組む各高等学校と連携しながら積極的にその支援を行っているところでございます。具体的に申しますと、健全な勤労観や職業観の育成でありますとか、あるいは基本的な職業能力の向上でありますとか、あるいはそれぞれの生徒さんの適性に合った職業の選択などを実現するために、職業講話のための講師の派遣でありますとか、あるいは職業選択を支援するためのキャリア・カウンセラーの派遣でありますとか、あるいはビジネスマナーの研修会の開催といったことを行っているところでございます。また、内定がおくれている生徒さんを対象といたしまして、就職活動のアドバイスを行うということでのキャリア・カウンセリングなども実施しているところでございます。 次に、新規高卒未就職者の対策という点についてでございます。 まず、就職に向けた意欲を維持し、そして喚起しながら、就職活動や職業能力の向上といった点に一層積極的に取り組んでもらうことが大事だというふうに考えております。若者就職支援センターとしても、出身高校あるいはハローワークなどと連携いたしまして就職支援ネットワークというのを組織すると、そして、その新規高卒未就職者の早期の就職を促進していきたいと考えておるところでございます。具体的には、センターの支援を希望される方々にまず登録をしていただいて、そして、その就職支援ネットワークを構成する関係の機関、出身高校でありますとかハローワークなどということでございますけれども、そういった機関と連携しながら、それぞれの登録者ごとに支援計画といったものをつくって、そして職場体験をする機会を提供したり、あるいはカウンセリングを実施したり、適性に合った職業訓練を紹介したりといったことを通じまして、それぞれの本人の状況に応じてきめ細かな支援を行っていきたいというふうに考えているところでございます。 以上でございます。 ○議長(松浦安雄君) 高橋農林水産部長。 ◎農林水産部長(高橋節君) 金澤議員から二点御質問いただきましたので、順次お答えしたいと思います。 まず、安全安心な農産物の生産についてということでございます。 県産農産物の安全確保対策につきましては、時代の要請あるいは消費者の関心の高まりということなどを踏まえまして、これまでしっかりと取り組んでまいりました。具体的には、農薬の適正使用あるいは出荷前残留農薬の分析などによりまして、生産物の安全性を確保いたします安全・安心農産物生産流通システムを全国に先駆けて構築し、実施してまいりました。この二年間の実績を見ますと、この取り組みが生産現場に着実に根づいてきているなというふうに感じております。これもひとえに農家の方々あるいは関係団体の並々ならぬ努力のたまものでありまして、関係者が心を一つにして取り組んだ成果であるというふうに認識しているところでございます。 今後の取り組みについてでございますが、これまでの成果に立脚いたしまして、さらに質の高い安全性確保の取り組みというふうな新しいステージに移行することを考えてございます。このような考え方のもとに、生産者や集荷団体などの安全性管理の取り組みを第三者機関が検証・評価する認証制度を整えて、その取り組みを出荷農産物に表示してトレースできるような体制を整えてまいりたいというふうに考えております。このことが、市場や消費者に対しまして積極的にアピールできることじゃないかなという考えでございます。 県といたしましては、生産者や集荷団体が円滑にこの新しい仕組みに移行できますように、今後とも安全性管理の取り組みを着実に実施していくことができるよう、システム管理委員会での合意内容を最大限に尊重しまして、その推進母体というふうに予定しております、仮称ではございますが、安全・安心ブランドやまがた産地協議会の設置ですとか、あるいは認証体制の整備を図りながら、県産農産物が安全安心ブランドとして確固たる評価を獲得できるよう努力してまいりたいというふうに考えております。 二点目でございますが、県外事務所の活動の成果と課題ということでございます。 すぐれた農産物を全国の消費者に優先的に、しかもいい条件で選んでいただくためには、産地の生産情報を市場関係者の方々やあるいは大手の実需者に的確に提供すべきという議員の考えには全く同感でございます。また同時に、消費地の流通情報を産地にフィードバックすることも消費者ニーズに即応した生産振興を進める上で極めて重要なことであるというふうに認識しておりまして、双方向で取り組んできているのが実態でございます。 具体的には、単に結果としての生産情報ですとかあるいは流通情報を提供するにとどまらず、全国の主要な産地の生育動向などを踏まえた流通予測ですとかそういう情報を提供したり、あるいは首都圏のモニター制度を活用した消費者ニーズの伝達などにも意を用いているところでございます。また、サクランボなど県産の主要な農産物につきましては、首都圏における量販店などの販売促進活動などの支援を行うほか、市場・卸関係の皆さん方と、出荷前の出荷対策の打ち合わせですとか、あるいは出荷が一通りめどがついた段階での次の作付に向けての改善事項の話し合いですとか、そういう情報交換会も開催しております。 こうした活動の結果、有利販売に結びついた事例ですとか、あるいは産地と大手量販店との間で新しい契約ができたとか、そういう事例もございますし、何といっても、東京の中央卸売市場におきます本県の農産物の取り扱い金額が大きく伸びているといううれしい情報もございます。本県農産業振興の一つの柱として園芸作物の生産振興を掲げているわけでございますので、こうした取り組みにも大きく貢献してきているんじゃないかというふうに認識しております。 また、今後の農産物の流通の動向を展望しますと、市場の仕組みが大きく変わってきております。市場外流通の拡大ですとか、あるいは法律の改正によりまして市場から産地の選別が始まる動きがあるなど大きな変革が見込まれますので、この対応が今後の課題の一つになってくると想定しております。このような変化に適切に対応して、農家の方々が生産活動のあり方とかあるいは販売チャネルの選択などの的確な経営判断ができますように、より充実した活動に努めてまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○議長(松浦安雄君) 日野教育長。 ◎教育長(日野雅夫君) 中学校における副担任制及び少人数学級編制のあり方についてのお尋ねであります。 来年度から、中学校一年生に重点教科副担任制、または少人数学級編制を導入する予定でおりますけれども、保護者の皆様には、大きな期待とともにさまざまな不安もおありかというふうに存じているところでございます。各学校におきましては、学習面や生活面での成果を上げるために、生徒の実態や教職員の配置などを十分に考えながら選択をするというふうに思っております。したがいまして、各学校では、それぞれの教育目標を達成するために、より適した方法が選択されるものと考えております。さらに、各校長は、学校の説明責任の一つとして、保護者の皆様に対して選択した理由、教育目標の達成の使命感等々について丁寧に説明して進めていくことが必要になるというふうに思っております。 方法は違いましても、最終的な目標は同じであります。教育委員会といたしましては、研修や授業改善、調査研究などを行う少人数授業推進のための全体計画を立て、総合的に取り組んでいく予定でおります。 選択制度をいつまで続けるのかということにつきましては、検証の結果を見ての判断になるというふうに思っておりますけれども、検証の期間といたしましては、一、二年で結果が出るものではないというふうに思っておりまして、時間をかけて検証してまいりたいというふうに考えているところでございます。 以上でございます。 ○議長(松浦安雄君) 多湖警察本部長。 ◎警察本部長(多湖令君) 児童虐待防止のための児童相談所と警察との連携についての御質問であります。 児童虐待事案につきましては、議員御指摘のように、いかに早く発見して早期に対応していくかということが極めて重要でありまして、警察としても、日常の活動や警察への相談の受理を通じまして、この虐待事案の早期発見に努めているところであります。 児童相談所との連携につきましては、平素から会議等を通じて情報交換を行っているほかに、児童に対する虐待が疑われる事案を警察が把握した場合には、速やかに状況を把握した上で児童相談所に通知して、早期にお互いが把握した情報を共有できるようにしております。また、個別の事案の対応につきましては、児童福祉司らとともに家庭訪問して指導を行ったり、児童相談所長からの委託を受けて警察署で被害児童を一時保護するなど連携して児童の保護等に努めているところであります。さらに、こうした協力を迅速に行うことができるよう、夜間や休日でも直ちに連絡のとれる関係者の緊急連絡表の整備などもいたしております。また、市町村で設置している児童虐待防止ネットワークのメンバーには、交番、駐在所の警察官が参加しておりまして、こうした場での市町村や児童相談所の担当者との意見交換にも努めているところであります。 今後とも、児童相談所との連携を一層緊密にして、児童虐待の防止に努めてまいりたいと考えております。 ○議長(松浦安雄君) 十五番金澤忠一君。
    ◆15番(金澤忠一君) ただいまは、知事初め執行部の皆さん方から大変丁重な、前向きな御回答をいただきまして、まことにありがとうございました。知事が、選挙戦または就任のごあいさつの中でも常に熱く語りかけておられます百年後にも誇りに思える山形県というふうなことが、私たちの方にも十分伝わってきているのではないかなというふうに思っております。公約で掲げております「分かち合い」「育み合い」「助け合い」、これは山形県民百二十二万人の皆さん方がひとしく思うところでございますので、これからは積極的な政策の実現に向けて取り組んでいただきますよう御期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(松浦安雄君) 二十一番加藤国洋君。 ◆21番(加藤国洋君) おはようございます。例年ならば川辺のネコヤナギの芽も膨らみ、流れる水もぬるまってきて一段と春の兆しが見えたかなと、そのような言葉がふさわしいのかなと思いますが、今年は我が県はまれに見るまた大雪に見舞われまして、本日も大変寒い日となっております。このような中、二月定例議会の開会中、一般質問の時間をちょうだいいたしましたことに、議員各位に心から御礼申し上げたいと思います。 さて、一月に挙行されました県知事選におきまして、酷寒の中、厳しい選挙戦に勝利なされ知事に就任なされた齋藤知事には、心からお祝い、お喜び申し上げたいと思います。 本会議冒頭、知事説明にありましたように、現在、我が国では、経済を初めあらゆる分野で停滞感、閉塞感が漂っており、本県においてもこれら例外ではなく、県民の多くが、この閉塞感を打破してもらいたいとの願いを齋藤知事に寄せられたものと推察しております。このような県民の願いを背に、これからの山形県のリーダーとしてスタートしたわけですから、その責任も極めて重大なものであると思われます。 このたびの選挙戦を通して、知事は、これまで足を踏み入れたことのない県内各地域至るところを回り、その目で山形県全体の地域実情を直視し、それぞれの地域県民の抱える実情を肌で感じてこられたものと考えます。都市部、中山間地域、日本海沿岸地域など、我が山形県は極めて多岐多様にわたる地域を包含する県であります。それら地域に暮らす県民生活様式や抱える地域の問題も多岐にわたっております。知事は、これまで培ってこられた経験と従来の行政感覚とは違った観点から今後の県行財政運営に取り組んでいただけるものと、大いに期待するものであります。 今議会において質問の機会をいただきましたが、十七年度予算が骨格予算ということで、新規の政策的予算が具体的に示されていないこともあり、各所管部に対する項目について各部長にお尋ねしても明確な答弁がいただけない状況と推察されます。 そこで、知事に、各分野における基本的な考えと今後の取り組みを中心に御所見をお尋ねしたいと思います。これまで各議員から出されました質問と一部重複する点もあり、きのうまで各部長から答弁がなされたところでありますが、これからお尋ねする各事項に関しては、各事項ともその根底では互換性があり、知事としての御所見を私なりの観点から質問させていただきますので、よろしくお願いします。 まず第一に、県土の均衡ある発展についてお尋ねします。 知事は、選挙戦を通じ、また、冒頭知事説明にありましたように、新しい発想とスピード、そして大胆な決断力を持って県づくりに取り組んでいかれる方針を承りました。私もかつて銀行員を経験しており、最初に行政にかかわりを持ったときに、それまでの経験とは違い、組織体、経営体にいささかならず違和感を感じたものです。知事も、銀行員として培ってこられた経験則に基づき県政を見たとき、従来体験した感覚とはかなり異質に映り、改革の必要性を痛感したものと推察しており、これまでの体験から県行政改革に取り組んでいかれるとのことで、私も大いに期待しているところであります。 今さら申し上げるまでもなく、県財政は現在危機的状況にあり、行財政改革、行財政の健全化が喫緊の課題であることはひとしく認識しているところでございます。まずもって、この財政健全化に向けいかに取り組み、持続可能な財政運営を図っていかれるのか。聖域なき見直しや民間企業体と類似の感覚で断行される所見をお聞きし、私自身大変共感を覚えるものでありますが、反面、一抹の懸念も抱いております。 行財政改革を進めるに当たり、さきに述べたような基本的考えで進めていかれることも全く同感であります。効率性、合理性、採算性といった企業感覚で財政運営を実施することは、まさしくそのとおりであり、納得するものであります。しかしながら、これらの観点を重視する余り、行政という存在、役割そのものが見失われてしまうことがないか、少なからず不安を抱いております。およそ行政の果たす役割は、県であれば全県民ひとしく行政の恩恵を享受され得るものであり、地域間によって行政サービスの提供がバランスを欠くものであってはならないはずであり、いかなる地域にあっても、そこに県民が生活しておればひとしく県民の福祉、社会生活向上に寄与すべきと考えます。 費用対効果、効率性、採算性という観点からすれば、同じ財政を投資するにしても、人口密度の高い都市部に投下するのと中山間地の人口密度の低い地域に投資するのを比較した場合どちらが合理性があるか、自明の理であります。私たちの地域を例にとれば、県内屈指の豪雪地帯であり、人口減少の最大要因が雪によるものであります。知事の生まれ育った山形市とは比較にならぬほどの積雪であり、地域における冬期間の生活はまさに雪との闘いであり、雪おろし、除排雪に要する費用も多大なものであり、さらには、死亡事故、けがなど、雪おろし等による事故が毎年多く発生している現状であります。今後ますます増加する高齢者にとって、雪に係る問題は、肉体的、資金的にもさらなる問題を生じております。 そんなところに住んでいるのが悪いんだと言われればそれまでですが、生まれ育って長年暮らした土地に愛着を持ち生活を営んでいるわけです。これら地域県民にとって雪の総合対策は必要不可欠なものであります。現在考えられる最も有効な手だてとして消流雪事業がありますが、ハード面整備には莫大な予算が必要であり、それぞれの市町村で取り組むにも限界があります。さらに、必要とする水も、種々の権利関係で、現今の縦割り行政の中で水源確保も困難であり、規制緩和が急がれるところであります。冬期間も何ら障害なく生活できるならば、若者も地元定着の志向となり、地域の新たな活力を生む要因となるのではないでしょうか。 私たちの地域を一例にとりましたが、県内それぞれに地域課題を抱え、それら問題解決に向け努力されているわけです。効率性の高い都市部のみが発展し過疎地はますます過疎が進むような山形県であってはならぬはずです。これらの観点から、行財政改革を推進する一方、県土の均衡ある発展にどのように取り組んでいかれるのか、御所見を承ります。 次に、美しい自然環境に恵まれた山形県の自然環境保全取り組みと次世代への継承についてお尋ねします。 およそ自然環境は、地球誕生四十六億年の悠久の時を経ながら緩やかな変化と醸成を繰り返し、現在の姿があるわけです。当面の課題を追い続けた二十世紀社会の中で、人間は、私たちは未来の長い歴史に対してどのように貢献していったらよいのかという問いかけと真剣に向き合う姿勢を弱めてきました。そのことが、それぞれの利益を考えるばかりで、未来にとって真に必要なものや本当に重要なことを忘れる現在の風潮を生み出したわけです。その反省に立って、私たちは二十一世紀の山形のあるべき姿を創造していかなければならないと思います。子や孫が暮らす百年後の山形に何を残しておくことが現在の人間の歴史への貢献なのか、私たちは、常々このような視点に立って未来を語るべきではないだろうか。歴史は、常々新しい世代へとバトンタッチされながらつくられていく。とすれば、責任あるバトンタッチをすることが私たちの歴史への貢献であります。この観点からすれば、まさしく自然環境の次世代へのバトンタッチをどのように行わなければならないのか。 昭和三十二年生まれの齋藤知事は、山形県の自然をみずからの実体験を通じてどのように感じておられるのか、また、知事にとっての原風景とはどのようなものなのか。 私は戦後生まれで、戦後の混乱期を幼少体験とし、昭和二十年代後半から三十年代ぐらいまでの四季折々の自然に取り囲まれた生活が心の原風景として鮮やかに残っております。戦後六十年を迎えていますが、日本は、戦後、幾多の混乱の中で、国民の真摯な努力により世界の奇跡とも言われるほどの復興をなし遂げ、世界でも屈指の経済大国まで成長しました。その過程において、特に昭和三十九年の東京オリンピックを境に、日本の社会情勢は、従来の日本とは全くさま変わりした変革と年率一三%以上の右肩上がりの経済成長を続け、平和で豊かな国に生まれ変わってきたのであります。しかし反面、失われたもの、忘れ去られたものも数多くあったことも事実であります。例えば、日本人本来の美徳、あるべきしつけの喪失、家族のあり方、地域コミューン、教育のあり方などなどであります。それらの大きな一つが、自然環境の崩壊であります。 時代の要求を背景とした急激な社会資本整備が進められていく中で、河川環境、里山などの山林環境など、豊かで美しい自然環境が後ろに押しやられ、生産性、合理性、効率性のみ追求した社会形態が構築されてきました。常に成長し続けてきた我が国も、バブル崩壊の現象を見るまでもなく経済成長も停滞し、国民全体の疲弊感が漂い始めると、それまで忘れていた自然環境が改めて求められるようになりました。二十世紀最終段階は、まさしく自然にいやしを求めるようになったのであります。都市部を流れる東京多摩川では、こうした時代背景とともに、およそ二十数年前までは全く汚濁に満ちた川になっておりましたが、下水道整備や沿川地域住民の環境整備にかける限りない情熱と努力により現在では透明度も見事に回復し、天然遡上のアユや生息する動植物もかつての種類を見るまでの状態となり、今や都民の憩いの場として根差し、愛されております。 さて、本県に目を転ずれば、県土の約八〇%近くの地域を縦断し、県民歌にも歌われている母なる川としての最上川の存在があります。源流部から県内各河川の流れを受けながら、大河となって日本海に注いでおります。この最上川も、昭和三十年代までは清流として各流域住民にとって常に身近な存在であり、川で遊ぶ子供たちの姿、川漁をして暮らしていた人々も多く、また、文人墨客にその美しい姿を四季折々に作品としてとらえられ、まことに自然そのものの代名詞のような存在であったわけです。この最上川をシンボルとした自然環境の取り組みが、本県では美しい山形・最上川一〇〇年プランとして広く県民に広められ、多くの県民に支えられているわけです。 知事は、この最上川を初め川で泳いだり遊びを通じて体感した経験があるかどうかわかりませんが、本県自然環境のシンボリックなこの最上川をいかに清流として回復し、環境を守っていかれるのか。また、県内全域にわたっての美しい自然環境を次世代を担う子供たちに実体験として川や山や自然環境を体験してもらうようにするのか。大人が準備したりセッティングしたお仕着せの自然体験ではなく、日常的に子供たちみずからが四季折々の自然に溶け込み、体感してはぐくんでいける形をどのように推進していかれるのか。そうして、豊かな山形の自然環境を肌で実体験してこそ美しい山形の自然環境が心にしっかり根づき、ふるさと山形に限りない愛情を持つ人間として成長し、ふるさと山形で生活していく心を醸成していくことが我々世代に課せられた責任であると思われます。 このような観点から、知事は、本県の自然環境保全と次世代への継承をどのように考えておられるのか、御所見を承ります。 次に、本県農業についてお尋ねします。 私たちの社会は、かつてその基礎に農業があり、そのことによって食料が生産されてきたばかりではなく、人とのかかわりを持った自然が再生され、人々は自然とは何かを学び、命をはぐくみながら、それを口にする人間とは何かを考えてきました。そして、農業は地域の核として地域社会の求心力を持ち、だからこそ祭りや伝統芸能等も農業があるからこそ生まれたという性格を持っています。農業は単なる産業ではなく、自然と人間を結ぶ働きであり、地域の求心力であり、土地と結びついた文化の母体であり、さらには、急峻な我が国国土にあって農業用圃場の果たす保水・涵養力は、全国ダム総数の八十数倍の国土保全上の役割をも果たしているのです。農業が弱体化していくことは、私たち社会の重要な基盤が衰退していくことにほかならないのであります。 二十世紀の間に日本の食糧自給率は四〇%台となり、先進諸国にあっては考えられない事態であります。現在、国、県、市町村ともに農業施策が種々講じられています。農業に情熱を持ち、将来展望を描きながら取り組んでいる人々、さらに、担い手支援事業等を活用しながら営農している若手農業経営者たち、しかし、これらはごく一部であり、従来の営農活動をしている方々が大勢を占める我が県農業の実態であります。国全体としての農業の先行き不透明感もあり、経営基盤も年々厳しくなる農業に翻弄され、あきらめ感にも似た思いで農業経営に従事しているのが実態であります。そんな折、知事は、本県独自の農業戦略を今後進めて、みずからトップセールスして日本の最高水準の県産品創出に努められるとのことで、県内農家に久々に明るい希望の灯をともされたものと大いに賛意を送る次第です。 昨年、私たちは、オセアニア地方に海外視察に行かせてもらいました。現地の農業事情や輸出事情等現地法人の方々から説明を受けながら、我が国との輸出入状況等改めて把握してまいりました。さらに、ジェトロの現地支社の方のお話を聞き、日本の農業戦略のおくれを知らされました。日本は輸入攻勢にさらされてばかりで、日本の農産品を海外に輸出することを積極的に考えていくべきだし、ジェトロとしてもでき得る限りの応援体制は組んでいただけるとのことでした。我が県でも、朝日町でのリンゴを中心に取り組みがなされているところでございますが、そのような観点で国内各地の状況を見ると、次のような地域の取り組みがなされています。 八丈島の観葉植物はスウェーデン等北欧諸国へ輸出し、フェニックス・ロベレニーが国内価格の五倍から十倍で販売。宮崎県新富町の鉢物シンビジウムは中国、シンガポールへ、島根県八束町産の鉢物ボタン苗がオランダ、アメリカへ、岩手県安代町はフラワーアレンジ用のリンドウをオランダへ、青森県のリンゴが中国の贈答用市場で大好評を得て年々輸出量が拡大、台湾では一般家庭まで入り込んでいる状況で、鳥取産の二十世紀ナシは台湾産の二倍の一個一千円で大人気となり、新潟の大玉新高梨も、山梨、長野県産の桃も台湾の富裕層に贈答用として年々その輸出量が伸びています。また、神奈川県産の温州ミカンは既にカナダでクリスマスオレンジとして位置づけが確立し、静岡、和歌山、愛媛、佐賀、熊本産もカナダ向け初めアメリカ向け市場の開拓が始まり、和歌山県産の柿が香港へ、鳥取県産の柿はタイと台湾へ輸出されているのです。このように、国内各県・各地域では、他との差別化を図り、付加価値を高め、特化した農業戦略を展開中であります。 現在、日本の農産物輸出額は一千六百億円でしかなく、対して輸入は三兆四千億円であり、諸外国の例を見ると、アメリカの農産物輸出額は五兆六千億円、フランス三兆五千億円、国土の狭いオランダも三兆三千億円で、オーストラリアは一兆六千億円という状況であります。農業輸出国を発展途上国と考えてはならないのであり、付加価値の高い日本の農産物は適切な輸出戦略を立てれば一兆円も夢ではないし、本県農産物も、これら市場マーケットに乗せれば今後新たな県農産物の展開が築かれるものと思われます。食糧自給率をこれまでのカロリーベース基準からさらに一歩踏み込んで価格ベースでの自給率向上を志向するとき、これら戦略も考慮していく必要があるのではないだろうか。オセアニア地方の視察を通じ、今申し上げたようなことに考えをめぐらせてきたところであります。 このように、農産物の輸出が農政の具体的なテーマになりつつある一方、国内の産地間競争も激しさを増してきております。知事も攻めの農業と言っているが、競争に打ち勝ち山形県の農業が生き残るためには、他産地との差別化を図り、付加価値をつけることが重要です。このように、戦略的農業を展開する上で最も基本となる生産基盤の新たなる確立こそが必要ではないかと思われます。 二十世紀後半は水の時代であり、二十一世紀初頭の今は、まさに土の時代であるといえます。そのために、農業の基本である土づくりを進めながら、農薬や化学肥料による環境への負荷を極力減らした環境保全型農業を積極的に展開する必要があるのではないか。こうした具体的な取り組みこそが、山形の豊かな自然・風土と安全安心のイメージに基づく付加価値を生み出し、消費者から支持される県産農産物のブランドの確立につながっていくのだと思います。 知事は、今定例会の所信表明の中で、「自然と共生する農業-やまがた」を目指すと述べられているが、自然共生型農業の推進に向け、具体的にどのような施策を展開されようとしているのか、知事にお伺いします。 次に、商業振興策、特に中心商店街を見据えた中心市街地のあり方についてお尋ねします。昨日も同じテーマで質問があったわけですが、私なりにお尋ねいたします。 今さら申すまでもなく、全国各地方都市の中心商店街の衰退化が叫ばれて久しい時がたつわけです。今や全国中心商店街のお手本ともなっており、全国各地にその名称を冠にした東京・銀座商店街も昨今厳しい局面に立たされており、昨年から新たな商店街構築に向け取り組みが始まっております。 かつて中心商店街は、その「街の顔」として街の核となり、伝統文化の継承発信基地であり、祭りなどにぎわいづくりのかなめとして、また、地域の情報交換の場であり、常に人々が集い、商業活動の集積の場所であったわけです。御案内のように、車社会の到来と、高度成長期には物はつくれば幾らでも売れ、仕入れれば幾らでも販売できた時代から、社会形態も大きな変化が訪れ、今やその中心商店街の位置づけすら危うい状況となってきております。国、県、各市町村、関係団体等これまであらゆる手だてを講じてこの問題に取り組んできたわけですが、これといった決め手となる有効な施策方法が見出せないまま推移しているのが現状であります。郊外型の大型量販店の進出が相次ぎ、まち自体の形態も大きく変わってきております。要因として、流通形態の変化、そして消費者ニーズの多様化、変化であります。 これら中心市街地の問題が出始めたころは、各商店街とも、いかに若者を中心商店街に呼び戻そうか、そして若者によって活力を生み出すかといった若者志向の市街地づくりを目指した時期もありました。そして現在、隣県仙台市の一番町商店街や郊外型アウトレットモール等に本県の若者たちがかなりの数訪れている状況であります。これら若者をいかに呼び戻そうか、本県中心商店街も腐心しておるのです。しかしながら、若者志向だけを考えた商店街や中心市街地づくりでいいのだろうか。にぎわいの例で見れば、東京巣鴨のとげぬき地蔵商店街のように、お年寄りの原宿と言われるように高齢者を見据えたまちづくりが成功しているわけです。今後ますますふえる高齢者の生活を考えたとき、気軽に歩いて買い物をし、談笑の場としての身近な中心商店街の存在が、今、改めて考えるときに来ていると思われます。 そこで、知事は、これまで培ってこられた、金融マンとして考えてこられたまちの経済活動のあり方、そして中心市街地のあり方について、従来の考え方と違った有効な方策でこれら問題解決にどのように取り組んでいただけるか、御所見をお尋ねいたします。 最後に、教育長に、教育に関しての最も根幹的な問題を私なりの所見を申し述べながらお尋ねします。 そもそも教育とは何か。国づくりは人づくりからと言われるように、国の基となるのが教育であります。生まれ育つ過程において、将来社会人として生活していく上で必要な基礎的な知識や社会組織の一員として身につけるべき素養等を学んでいくわけです。最初の出会いが家庭であり、そして地域社会、さらに幼稚園、学校と、成長に従い、自分を取り巻く環境に応じそれぞれに適応できるように身につけていき、さらに専門的な知識を学ぶために高等教育を受けるような形となっているわけです。 さきに述べたように、我が国は、戦後大きな変革を見たものの一つに教育があります。それまでは、日本人としても基本的なあり方、倫理、道徳観など考え方が長く培われてきたわけですが、敗戦となり欧米諸国の考え方や理念が入り、従来の教育とは違う形が生まれてきたのではないでしょうか。とはいえ、私も戦後教育を受け、育った一人であり、その私でさえ、現在の国の方針にいささかならず違和感を覚えているものであります。 我が国は、戦後、経済成長を続ける中で並行して学歴社会をも構築してきました。いわゆるしっかり勉強し、よい高校よい大学を出て一流企業や主要官庁に勤めることがステータスとなり、そのことが受験戦争という言葉を生み出し、また、社会での位置づけも、金をもうけ富を得ることが人生の勝者のような拝金主義社会をも生んでしまったわけです。さらには、欧米諸国の風潮が流入する中で、個人の権利のみがクローズアップされ、今なおそれらの諸国では厳然と培われている国民として、社会人としての義務という観念が忘れられてしまったのではないだろうか。 一時期よく言われましたように、偏差値教育、管理教育、それらの弊害が学校現場での不登校・いじめなどの大きな社会問題が発生し続けた要因であり、このような問題解決策の方針から二〇〇二年に小・中学校で導入した新指導要領は、授業時間や教科の学習内容を削減し、みずから学び、みずから考える力を養うことを目指して導入されたわけですが、短期間で全面的に見直されることになり、現場では混乱も予想されるのであります。その要因の一つが、学力低下が問題視され、文部科学大臣は、世界トップレベルの学力復活を掲げ、見直しの観点として、一つに基本的な教科、特に国語や理数教育、外国語教育の改善・充実、二つに夏休みなどの長期休みや土曜日の活用などを示して、中教審は今秋、この秋までに基本的な方向をまとめるとしています。 しかし、社会の最も根幹をなす教育というものは、その基本理念は五十年、百年の大計であるべきもので、朝令暮改に等しく、いとも簡単に基本方針が改められるべきものではないはずと思います。また、今般の問題で、国も最も重要な部分を見失っているように思えてなりません。 社会形態の変化で価値観も変わり、さまざまな職業の果たしてきた役割が希薄化し、いわゆる伝統工芸や職人のわざ、たくみのわざなどがその地位が危ういものとなり、後継者もいないような状況が続いている現況です。しかし、その後さらなる社会の変革が生じ、バブル社会の崩壊の例を見るまでもなく、決して破綻しないと言われた超安定企業が次々に破綻し、統合再編を繰り返し、経済不振とともにリストラや賃金カットが断行され、たとえ苦労して入った企業も、定年までの終身雇用などおぼつかないような状況になっています。それまでの勉強することの意義、目的すら不透明になってしまい、子供たちも、何のために勉強するのか、その目標すら見えない状況を覚え始めているのではないだろうか。現在社会問題化しつつあるフリーター、ニートの増加などもこれらと無関係ではないと思われます。ゆとり教育云々する以前の根幹的問題に今現在直面していると言わざるを得ません。 ゆとり教育を失敗としてとらえる親たちは、不足分の学力を塾で補わなくてはならないから塾の費用の負担がふえ家庭では迷惑していると考えているのではないでしょうか。しかし、これらは前提自体が基本的に間違っていないだろうか。学力が不足したら希望の大学に入れない、それでは人生が失敗するという大前提に基づいています。つまり、昨今のゆとり教育が施行される前の時代と人生の目標地点が同じままだと思い込んでいるからこその発想ではないだろうか。私たちはそろそろ目を覚まさなくてはならない。かつてだれもが同じように貧しかった時代は、多くの人が欲しいと望むものも同じだった。言いかえれば、幸せの形が同じだったと思います。でも、ある程度豊かになり、それらすべてを手に入れた今、私たちは、次に目指す場所を見失ってしまいました。 さきに述べたように、いわゆるいい大学からいい会社に入ったところで将来にわたる保証はない、終身雇用などはもはや夢幻でしかない、それらは多くの人々がわかり始めております。その先を考えようとすると途端に思考停止をしてしまうのはなぜでしょうか。今、私たち大人に求められているのは、腹をくくって根本から意識を変えること、そして、この時代に一体何を人生の目標にすればいいのかを子供たちに明確に示していくことが重要でないかと思われます。 これらの点に国もようやく気づき、文部科学省では、平成十七年度予算の主要事項に学校、地域、家庭が一体となった子供の元気づくりプランの推進を掲げ、地域教育再生プランの関連事業予算を新規に盛り込むことにしています。このような国の施策や方針をまつまでもなく、山形県の次代を担う子供たちに我が県独自の教育理念に基づいた教育行政を進める時期が来たものと考えます。 第五次山形県教育振興計画が示されましたが、今述べたような観点から、最も根幹的な理念をどのように考え推進していかれるか、日野教育長の御所見を承りたいと思います。 以上、私の質問を終わりますが、知事及び教育長の明快な御答弁を御期待申し上げます。 ○議長(松浦安雄君) 齋藤知事。 ◎知事(齋藤弘君) ただいまの加藤議員からの御質問四点ございましたので、順次お答えさせていただきます。 まず最初でございますが、県土の均衡ある発展についてというお尋ねでございました。 本県は、四つの地域が都市を中心としてその周辺を農山村が取り囲み、恵まれた豊かな自然と人とのかかわり合いの中で、人と人とのきずなを大切にする心、農業を初めとした物づくりの知恵や技術、地域の文化がそれぞれの特徴を持って培われておるわけであります。私は、四つの地域を持つ本県を車に例えると、雪道に強い四輪駆動の車だというふうに思っています。四つのタイヤが同じ大きさできちんと動いて初めて未来に向かって走り出し、山形らしさがつくられていくものであろうというふうに考えております。 私は、選挙期間中を通じて県内各地を回らせていただきました。地域の多様さを改めてそこで実感した次第であります。例えば、お年寄りが一人で除雪作業をしているような姿を数多く見まして、県の発展には雪を克服することが重要であるというふうに改めて認識した次第であります。今後ますます高齢化が進む中にあって、積もった雪をどうするのかということではなく、積もらないようにするにはどうするのかというような対策へ、新しい発想を持って対応しなければならないと考えたところであります。 いずれにしましても、今各地にあるすばらしい山形の資産を育てて、その地域だからこそできることをしっかりと実践していくことが大切だというふうに考えております。具体的には、出前知事室を開催して県民の方々からの生の声を伺うとともに、現場の実態を把握し、地域住民の方々の主体的な取り組みを支援してまいりたいと考えております。その一環として、特区それから地域再生制度などを積極的に活用し、各市町村とともに地域活性化のためのプロジェクトを推進する、そして各地の実情に合った発展がこれにより期待できるものと考えております。こうした努力の積み重ねにより、それぞれの地域が活力と魅力にあふれる山形となるよう頑張ってまいりたいと思っております。 次に、自然環境保全と美しい山形の次世代への継承についてお尋ねでございました。 山形県は、数多くの秀麗な山々、県土を縦貫する母なる川最上川、紺碧の日本海などに象徴される美しく豊かな自然に恵まれております。私は、山形に生まれ山形で育ち、四季折々の千歳山や馬見ヶ崎川の自然の中で遊び、学んでまいりました。また、父が生まれた村山市楯岡、新山の山々、それから母が生まれた中山町の近くの須川、こうしたところでも遊び、学んでまいりました。この山形の自然の恵みに感謝するとともに、自然とともに生きてきたんだなと実感する次第であります。 例えば、県民に身近な存在である最上川をシンボルとした自然環境保全への取り組みにつきましては、美しい山形・最上川フォーラムの清流化に向けた活動などを通じまして、自然豊かな美しい山形づくりを県民とともにしっかりと進めてまいりたいと考えております。こうしたことを進めていくためには、子供のうちから自然と触れ合い、その偉大さや神秘さを体験し、一度壊れたら二度と取り戻すことができないとの認識のもとに、環境保全に自主的に取り組む意識の醸成や意欲の増進を図ってまいることが重要であります。このため、本県における環境教育を積極的に推進し、こどもエコクラブの登録数の増加や、それから尾花沢の宮沢翁塾などの環境学習支援団体認定数の増加、こうしたことに努めることなどによりまして自然とのかかわり合いや生命の大切さを学ぶこと、こうした場や機会を拡充してまいること、こうした点に意を用いてまいりたいと考えております。 私は、すばらしいヒーリング効果を持つ県民共有の財産である美しく豊かな自然の豊富なこの山形、その恵みを分かち合い、はぐくみ合い、そして県民みんなが助け合いながら、百年後にも誇りに思える元気な山形県として次世代に引き継いでまいりたいと考えております。 続いて、山形県農業の確立に向けた取り組み施策についてのお尋ねでございました。 消費者ニーズが多様化し産地間競争が厳しくなる中で、県産農産物が市場や消費者の評価を獲得するためには、県内のすぐれた素材を掘り起こし、日本最高水準の品質を誇る農産物へと磨き上げ、差別化を図る必要があると考えております。 本県は、豊かな自然と高い農業技術力を有しており、品質がよく魅力的な農産物素材も豊富にあります。このような立地条件を生かして県産農産物の付加価値を高めていく上で、環境保全型農業は極めて有効な取り組みであります。現在見直しを進めている山形県農林水産業振興計画においても、山形県のすべての農家が、堆肥などを活用した土づくりを行いながら農薬や化学肥料の使用量を減らし、人の健康と環境保全に配慮した方法で農産物を生産する全県エコエリア構想を推進するということにしております。具体的には、エコファーマーなど環境保全型農業の担い手の育成確保を図るとともに、耕畜連携による土づくりや地域の特色を生かした実践活動をベースにした環境に優しく安全でおいしい農産物の産地化などを展開していきたいと考えております。また、来年度に予定している県の農業関係試験研究機関の組織再編におきましても、環境保全型農業の研究開発機能の強化を図り、こうした取り組みを下支えしていくことにしております。 このように、環境保全型農業を推進するための施策を積極的に展開しますことは、本県農業を山形の豊かな自然を生かした「自然と共生する農業-やまがた」として再興していくことにつながるものであり、国内のみならず広く世界に訴えていける取り組みであると考えております。私は、こうした点を含め、山形を全国に、また世界にアピールするトップセールスマンでありたいと改めて決意する次第であります。 最後に、本県商業振興策についてのお尋ねでございました。 中心市街地は、長い歴史の中で、商業はもちろんですが、それぞれの地域の文化や伝統をはぐくみ、そこに集う人々をはぐくんできた「街の顔」と言える地域であります。そして、こうした役割は今も変わっていないと思っております。むしろ、議員御指摘のように、本格的な高齢社会の到来を迎え、中心市街地の役割はますます大事なものとなってきており、中心市街地の活性化については、県民の方々の期待も大変高いものがあると認識いたしております。この中心市街地のにぎわいを取り戻すことは、まさに地域の元気を示すシンボルであり、元気な山形県づくりにもつながるものと考えております。 今、厳しい財政制約、それから環境問題の高まり、さらには高齢化社会への対応などの観点から、これまでのように郊外に伸びていくまちづくりから、町中の既存のインフラや施設などを活用した、そして、それぞれの地域の特性を生かしたまちづくりが求められているわけであります。中心市街地の活性化は、まさにこうした問題そのものではないかと考えております。こうした中で、中心市街地の商業振興のあり方につきましては、これまでの高度成長期の成功体験に頼ることなく、あるいはその後の郊外型大型店舗との競争という観点のみにとらわれることなく考えることが肝要かと思われます。例えば、高齢化社会など新たな変化に対応した消費者ニーズ、オンリーワン商品など若者の個性やアイデンティティーを求める消費者ニーズ、さらには、郊外店ではなく中心市街地の商店街に改めて求める新しい役割というものをいま一度見詰め直して、そして、それらに的確にスピーディーに対応し消費者、市民の満足を得る、支持を得るということが大切であると思っております。実際に最近の商店街の方々と接してみますと、そのような意識、手ごたえというものが強く感じられるわけでありまして、私どもとしても、そうしたものにこたえられるよう支援してまいりたいと考えております。 中心市街地の活性化、中心商店街の振興につきましては、こうした商店街の問題にとどまらず、広く土地利用などまちづくり全体の問題が関係しております。地域の意向も十分お伺いし、市町村とも連携を図りながら、元気な山形県の象徴として中心市街地の活性化に取り組んでまいりたいと考えております。 以上であります。 ○議長(松浦安雄君) 日野教育長。 ◎教育長(日野雅夫君) 山形県の教育の根幹的な理念というお尋ねでございます。 社会が激しく大きく変化する中で、人生の目標を見失いがちになる時代であります。だからこそ人間としての生き方の根幹にかかわる理念をしっかりと見据え、すべての子供たちが将来への夢や希望、生きがいを実感できるような教育を創造していくことが大切であるというふうに思っております。 このような考え方に基づき、第五次山形県教育振興計画におきましては、目標として、「知徳体が調和し、いのち輝く人間の育成」を掲げております。「いのち輝く人間」の姿といいますのは、自分の命も他の命も大切にし、それぞれが持つ個性を生かしながら人や社会のために役に立ちたいと一生懸命努力している、そういう姿を想定しております。これは、社会がいかに変化しようとも人間が根幹として持つべき姿勢であり、人生目標を求める力を含め、大人がしっかりと子供たちに示し、教え導いていくべきものであるというふうに思っております。 命を大切にすることは、何にも優先する教育の土台であります。その土台の上に、成長を実感しながら将来の目標を見出していく「まなび」、人・自然・社会の中でともに生きる喜びと充実感を味わう「かかわり」を位置づけ、子供たちの夢と希望、生きがい、そして目標に向かってしっかりと生きていく力をはぐくんでいくことこそ本県が目指すべき教育行政の根幹となる理念であるというふうに位置づけて、今後十年間、五教振の計画の実現に向けて総力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。 ○議長(松浦安雄君) 二十一番加藤国洋君。 ◆21番(加藤国洋君) ただいまは、知事、教育長に私の所見を申し述べさせていただきながら御所見をお尋ねしたわけでございます。 知事もまだ就任一カ月未満という非常に短い期間でありますが、知事が所信表明で申されておりますように、元気な山形、そして百年後も誇れる山形づくり、その目指すものはひしひしと伝わってまいります。そしてまた、きのうからの一般質問の答弁をお聞きしますと、具体的な施策もかいま見られるようになってまいりました。どうか知事におかれましては、焦ることはありません、じっくり精査・検証を重ねながら、これから知事の目指すもの、それをじっくりと、県民の元気の源をつくれるような形で政策または予算で示していただきたいなと、そのように願います。そして、私のお願いを申し上げながら質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(松浦安雄君) この場合、休憩いたします。 午後一時再開いたします。         午前十一時五十四分 休憩         午後一時零分 開議 ○議長(松浦安雄君) 憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 二十七番澤渡和郎君。 ◆27番(澤渡和郎君) 齋藤新知事就任後初めての、平成十七年度当初予算案を審議する今次定例会における一般質問のラストバッターとして質問の機会をいただき、先輩・同僚議員各位に心から感謝申し上げます。 質問に先立ち、厳しい財政、低迷する経済のもと、果敢な県土づくりと社会資本の充実に積極的に取り組まれ、数々の主要プロジェクトの成功に思いをいたすとき、高橋和雄前知事の功績、三期十二年に及ぶその御労苦をねぎらい、県民の皆様とともに深甚なる感謝を申し上げます。 ふるさと山形県、新しい時代の扉は、高鳴る鼓動とともに百二十二万県民に激しい興奮と感動の波、期待の声を巻き起こしながら、劇的に開かれました。一月二十三日の知事選挙は手に汗握るドラマ、新人候補が現職を破ったのは、昭和三十年安孫子藤吉さん以来五十年ぶりの地殻変動でありました。明治九年、三島通庸初代県令以来四十九代、戦後の公選知事として五人目に当たる齋藤知事の誕生。新県政のスタートをお祝い申し上げ、その意図するものが一日も早く県民の理解と協力を得て根をしっかりとおろし、全国から注目を浴びる、画期的な県勢の成長、発展、進化を実現、私たちの子孫が誇りとする輝く山形県に生まれ変わることを心からこいねがうものであります。 それにつきましても、このたびの選挙、最初から最後まで現職優勢を報道各社が伝え、県民も大半が高橋和雄さんの四選を信じて疑わなかった。なぜ、県民は行政経験のない未知数の齋藤弘さんを選んだのでしょうか。 私は、政治評論家としても高名な京都大学中西輝政教授が、昨年一月、世に問うた名著「国民の文明史」の一節を思い起こしたのであります。すなわち、日本の文明は、他のアジアの国々とは全く異質な文明なのです。幕末・明治期に日本に滞在したイギリス人たちの日本観察記を読めば、彼らは、日本人はなぜこうも他のアジア人と違うのかと、繰り返し問うております。 日本文明には、一万年近くもじっと同じことをしていられる縄文的なもの、そして、わずかな期間に生命をよみがえらせ、物事を激変させる弥生的なものという異なる二つの本質が交錯しています。日本の縄文時代のように、自然崇拝と狩猟採集で生態系を守ってきた文明は世界にたくさんあったが、日本以外はみんな滅んだ。エジプト文明しかり、ケルト文明しかり。なぜ日本だけが今日まで連綿と生き続け、その文明を受け継いでくることができたのか。日本文明には、縄文化と並んでもう一つの契機、すなわち危機になったときにそれまでの生き方を反省して目覚め、周囲の適応力を一気に高める文明的エネルギー、すなわち「弥生化の契機」が急速に浮上して、文明と国家を再生していくのです。 この縄文的なるものも弥生的なるものも、いずれも日本文明の特質ですが、それが絶妙のタイミングで切りかわる、その瞬発適応システムとしての文明生存力こそ日本文明の核心であると、日本をよみがえらせてきたと、このように中西教授は日本文明の特質を解明されております。 私は齋藤知事誕生に際し、中西教授の指摘しております日本文明の持つ縄文文明から弥生化へ劇的に展開する秘めたるダイナミズムの山形版ではないのかと、これまでを反省して目覚め、周囲への適応力を一気に高める文明的エネルギーの発露であり、これが奇跡の大逆転を生んだ真の要因ではないかと、これはミラクルでもフロックでもない、歴史の必然ではなかったかと、このような観点から、齋藤知事は山形県における日本民族のDNA本質であるところの文明的エネルギーが機能して、山形県民の自己革新のリーダーとして登場したという認識のもとに、質問に入らせていただきます。 親孝行は百行にまさると言いますが、お年を召された御両親に孝養を尽くしたい、自分をはぐくみ育ててくれたふるさとに御恩返しをしたい、山形県の発展と県民が百年後でも誇れるふるさとづくりのためにこれからの人生をささげたい、この思いが齋藤県政の理念を構成しているように見受けられます。無限の可能性を秘めた子供たちの、そのすぐれた資質・才能を十分に引き出してあげたい。幸せで価値ある人生を送るために、豊かな人間性をはぐくむ良好な教育環境を整えたい。子を思う親心、当然のことですし、家庭教育、社会教育、そして学校教育における教育県山形よよみがえれと、獅子奮迅の活躍をし得るリーダーはただいま子育て真っ最中、齋藤知事あなたであることを信じて疑わないのであります。 二月二十二日、今定例会初日、知事は所信表明で、「教育の質・日本一」の山形をつくることを高らかに宣言しました。かつて、イギリスのサッチャー首相、あるいはアメリカのレーガン大統領初め名立たる世界のリーダーは、その最初の所信、改革の構想の中に明確に教育の理念、みずからのよって立つところの信条をうたっております。 この山形県が日本一の教育県になる、立派な日本人を育てる、優秀な人材を輩出しようという知事のお考えの礎となる信条・哲学、核となる教育理念は那辺に存するものか、最初にお尋ねするものであります。 次に、学校における危機管理についてお伺いいたします。 近年、平成九年の神戸の連続児童殺傷事件に始まり、平成十三年の大阪は池田小学校の児童殺傷事件では児童八人が死亡、ことし二月十四日大阪寝屋川市立中央小学校では三人の教職員が殺傷されるなど、凄惨な事件が続発、子を持つ人間として人ごとではありません。こうした事態を憂慮し、文部科学省は、「学校の安全管理に関する取組事例集」を作成し、全国的な動きとしては学校への防犯カメラやセンサーを設置するなど、子供たちを守る取り組みが進められております。県内においても、防犯カメラやインターホーンの設置を初めさまざまな対策がとられているところであります。 文化庁長官河合隼雄さんは慨嘆しています。「日本の社会には弱いものをみんなで守っていく、困っている人をみんなで助けていくという不文律があった。赤ちゃんを殺したり、小学校に侵入したり、幼児の誘拐など、日本人が貧しいころ持っていたシステムがすっかり壊れてしまった。物が豊かになった分だけ心豊かにせなあかん。学校でも地域でも家庭でも、人間関係のおもしろさ、楽しさがわかる体験を持つようにするのが一番だ。寂しい子をつくらぬようにするのが大切だ。地域の人、みんなの心が通じていたら、武田信玄ではないが人が城になる、石垣になる」。まことに含蓄のある言葉であります。 そこで、学校の「安全管理」が今や緊急の課題となる一方、「地域に開かれた学校、子供たちの豊かな人間性をはぐくむ地域の教育力」というもう一つの重要なテーマがあるわけです。相克、矛盾する面もあるようなこの二つのテーマについてどのようにお考えか、教育長にお尋ねするものであります。 三月二日の代表質問、自由民主党の志田先輩議員の女性政策についての答弁の中で、知事は、男女共同参画運動を力強く支援・推進していくお考えを披露されました。 男女が社会の対等な構成員として均等に責任を担っていくことは、少子・高齢化時代を迎えて大変大切なことでございます。しかし、実態というか男女共同参画という名のもと、余り一般の方々の目につかない中身の部分で、知事の標榜するところの日本一の教育、人材育成、心豊かな県土づくりと、こういうものを阻害してしまう要素が含まれているのではないかという声が、良識ある方々から上がっているのであります。つまり、男女共同参画計画を策定したのが平成十三年、山形県は男女共同参画社会実現のための大きな視点としてジェンダーフリーの推進をこの計画の中で取り上げ、全庁的、県庁すべてが丸ごとの取り組みでジェンダーフリーの定着に努めていくということを明らかにしたのであります。 このジェンダーフリー運動の基本は、アメリカのウーマンリブ運動、あるいは階級闘争史観を男女の関係を御家庭の中にも当てはめた、マルクス主義フェミニズムというものに端を発したと言われており、セクシュアルハラスメント運動・セクハラ、あるいは夫婦別姓運動の源流をなす偏った過激な思想と言われています。 そして、ジェンダーフリーの主張する三つ。まず第一に、男女は生まれつきの性差はなく、男らしさ女らしさ・ジェンダーというものは、後から社会的・文化的につくられたものだ。二つ、ジェンダーは女性差別、その象徴が「男は仕事、女は家庭」という性別役割分担だと。三つ目、だからジェンダーは悪だと、解消すべきだと。これがジェンダーフリーの三つの主張であります。 最新の脳科学、大脳生理学は、脳の構造や機能は男女で違いがあり、男らしさ女らしさは生まれつきのものであることを明らかにしております。生物学的な脳の性差が厳然として存在する以上、その特徴を生かして役割分担が社会生活や家庭で行われる、すなわち出産・授乳の機能を持つ女性が育児・家事を主に受け持ち、男性が外で働く、差別どころか極めて理にかなった営みだというべきであります。 このジェンダーフリーの問題について、東京女子大の林道義教授は数々の著作もあり高名な方でありますが、次のように指摘されております。「県や市町村の教育委員会の指導で男女混合名簿が急速に広がりを見せている。ジェンダーチェックといって、男女で区別することは何でもやり玉に上げる。こうした男女無区別主義は、恐ろしい弊害を生む危険がある。男女の区別、自分は男だとか女だとかいう自己意識はアイデンティティーの基礎で、これが定まらないと自我人格そのものが形成されない。このままジェンダーフリー教育が広まると、五年後、十年後、青少年の心の病が急増するおそれがある。それを防ぐには、男女の区別を科学的に正しく教え、両性の分業と協力の正しいあり方について考えさせる教育が必要だ。混合名簿などのまぜこぜ教育は極めて危険である」と、このように指摘をしております。 青少年の健全育成、家族制度、社会秩序を否定崩壊せしめるおそれのあるジェンダーフリー教育と言われております。その端緒となっているのが男女混合名簿で、平成十一年、男女共同参画社会基本法の成立をきっかけに、ジェンダーフリー教育を全面展開していくものとして全国に広がったと言われております。この男女混合名簿、本県では、小学校三〇%、中学校一七%、高校は一〇〇%、年々増加の傾向と聞いておりますが、ジェンダーフリー教育が過激な性教育とリンクして、青少年の将来や教育界に重大な影響を及ぼし、ますます少子化が進むことも考えられる現況を教育長はどのようにとらえられているのでしょうか、そのお考えを聞かせていただきたいと思います。 続きまして、過激な性教育と若者の性の健康について教育長にお尋ねいたします。 昨年、予算特別委員会で二回にわたり取り上げたテーマで、どなたも関心があり、大変重要な問題でございますが、なかなか質問しにくいテーマであります。しかしながら、新しい手引もでき、新年度の方向づけが新しい知事のもとに進められておりますので、早速確認させていただきたいと、こんなふうに思っております。 さて、山形県の未成年女性の妊娠中絶、--きょうは若い方もたくさん傍聴に来ていらっしゃいますが、昭和五十年は百二十二件でありましたのが、平成十三年は六百二件、何と二十六年間で約五倍、総数は、八千件台から四千件以下と半減しています。ここ何年かは、山形県は不名誉な全国トップクラス。また、梅毒、エイズの危険性が高い性感染症、山形県でも過去数年間激増の傾向ということで、健康福祉部、各保健所は対策に苦慮しているのであります。 山形市教育委員会が進めている「いのちの学習」という性教育プログラムでは、小学校一年生から中学三年生まで、CD-ROMつきで性器の図解、性行為の説明、避妊の解説が丁寧にされているのです。県内ではここ一、二年、学習指導要領を逸脱した過激な性教育が急増しているようであります。例えば、小学校二年、三年生の授業で、セックスする、精子と卵子の結合・出産の場面のビデオを見せられ、びっくりして娘はお父さんに報告した、あるいは中学一年生に人工中絶についてという宿題が出され、元教員のお母さんは仰天したなど、子供の発達段階を無視した事例が多数報告されているのであります。 東京女子大林教授は、「今、日本じゅうの学校で保健や総合の時間を使った知識・技術偏重の性教育が行われております。性交渉への道徳的な歯どめを与えないで知識だけ与えたのでは、性交への興味ばかりがかき立てられ、むしろ性交の低年齢化に拍車をかけている結果になっている」と指摘しております。 このような行き過ぎた性教育とともに教育の観点から危惧されていることは、自己決定という考え方が教育の世界に持ち込まれることの弊害であります。例えば、先ごろ、警察庁の青少年問題調査研究会による援助交際についての中高生のアンケート調査が公表され、援助交際容認派が六七・七%もいることがわかった。その中で、一番多かったのが、「問題だが本人の自由」という回答で、自分のことは自分で勝手に決めていいという自己決定の考え方が多くの若者の心に浸透しているということであります。しかし、こうした自己決定を子供に認めれば、教育は成り立たない。その典型が学級崩壊であります。こうした自己決定の考え方が、今や性教育の世界にも堂々と持ち込まれ、多くの日本の中高生が、セックスするかしないか、産むか産まないかは自分の自由だと思い込まされてしまっているということであります。その結果、現実に十代の妊娠や中絶、性感染症が外国と比較してもふえ続けております。 このようなまことに憂うべき状況のもとで、中学校、高校の教師用指導書「性といのちの学習の手引き」を作成中、本県の性教育の目標として本年度中に配布、また小学校の教師向け手引についても見直し、小・中・高一貫して性道徳を身につけられる教育を進めるとのことであります。 日本の将来を担う子供たちの将来が、ジェンダーフリーや過激な性教育によって実に危うい状況となっております。子を持つ親としてどう真剣に考えるのか、教育長はこの問題をどのようにとらえ改善点を見出そうとしているのか、そして「性といのちの学習の手引き」にそれがどう反映されているのか、お答えいただきたいと思います。 続きまして、歴史教科書と青少年の歴史認識についてお尋ねします。 山形、上山、天童、東村山で使われている「中学生の歴史」教科書百七十一ページに、日本の初代総理大臣伊藤博文を暗殺して韓国の民族的英雄になったという安重根が写真入りで載っております。この教科書では、「安重根は、伊藤博文を暗殺したため、日本では暗殺者とされていますが、韓国の教科書では次のように……」として、「安重根は、韓国戦略の元凶である伊藤博文が、大陸侵略についてロシア代表と交渉するために、満州のハルビンに来たところを射殺した。安重根のこの行動は、日本の侵略に対する我が民族の強い独立精神をよく表したものである」。これは日本の、山形で使われている教科書です。 千円札の肖像画にも使われた初代総理大臣伊藤博文。明治二十二年、近代国家に不可欠の憲法発布、アジアで初めて立憲国家を誕生させるなど、黒船到来、明治維新以来、欧米列強の植民地になりかねない大変過酷な時代に、日本の近代化に大きく貢献した人物として知られています。伊藤博文は、アメリカでいえばいわばジョージ・ワシントン、あるいはエブラハム・リンカーンに匹敵する人物に違いありません。 百年前、国家の存亡をかけた日露戦争に勝利した日本であります。有色人種の小国日本が、当時、世界最大の陸軍大国だった白人帝国ロシアに勝ったということは、世界じゅうの植民地、抑圧された民族に独立への限りない希望と夢を与えたのであります。この大切な日露戦争の世界史的意義が、全然この教科書には書かれておりません。また、ロシアのバルチック艦隊を日本海海戦で全滅させその名を世界にとどろかせた東郷平八郎初め、神武天皇、菅原道真、楠木正成、二宮尊徳、小村寿太郎、野口英世など、歴史上の人物はこの歴史教科書に全然載っておりません。「これは一体どこの国の教科書」と言わざるを得ない。このような教科書で学んだ中学生は、「日本はどんな国だろう」と、国家観・歴史認識をどう持つでありましょうか。 自分の国のよさを知らないとよりよく生きることはできない、ほかの国のよさも理解できない。歴史教科書をゆがめていくことは、子供たちから未来を奪っていくことだと認識していかなければならない状況だと思います。 文部科学省の新学習指導要領は、歴史的分野について国民としての自覚を育て、我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深めることをうたっております。教育長は、どのような視点で本県の歴史教科書と青少年の歴史認識の問題をとらえ、各市町村教育委員会にどのように具体的に指導・助言されるのか。簡単に申し上げれば、このような歴史教育で健全な日本人が育つと教育長は思っていらっしゃるのか、お尋ねいたします。 続きまして、県民の安全安心と危機管理について知事にお尋ねします。 昨年は災いの年と言われ、風水害、パプア州の地震、あるいはお隣新潟県中越地震、暮れにはスマトラ沖大地震・インド洋津波惨事では三十万人を超す死者・行方不明者を出す大惨事が起きました。平成十三年九月十一日、アメリカの同時多発テロ発生のとき、高橋県知事、山科議長一行は、姉妹交流十五周年記念で姉妹県州であるコロラド州を訪問中でありました。このテロ発生とともに、官民挙げて対応の迅速さ、的確さ、直ちに立ち上がってテロを撃破しなければならないという盛り上がり、絶えず情報を国民に流して団結を訴える卓越した危機管理能力に感服するとともに、セカンド・パールハーバーを繰り返すテレビに屈辱感を感じたと、高橋知事はその後の私の質問に答えて報告をされました。 このたび若き知事は語りかける。人は支え合って生きていく、愛と信頼が県政の礎であると。愛する者のためにおのれのすべてをささげ尽くしたい。神より人間に与えたもうた最も高貴なるものは愛であり、犠牲的精神と言われます。その愛の対象を家族から社会へ、国家民族へと拡大していった人間をこそ、真のリーダー、英雄と呼べるのではないでしょうか。 戦後六十年たって、自分の国を、国民を自分で守ることがどういうことか真剣に議論されていない日本の現況を考えると、非常事態の場合、日本防衛と国民の安全のため、リーダーは法整備が進められているが、難しい判断を迫られることもあり得る。阪神・淡路大震災など過去の事例を見ても、トップの日ごろの心がけ、とっさの判断が、何千人という人命を救うか犠牲となるか、重大なかぎを握っているのであります。 知事は、県民の安全と安心を守る危機管理、特にタイムリーでスピーディーな決断が求められる非常事態での心構えをどのように取り組まれるのか、お尋ねするわけであります。 続きまして、知事に、安達峰一郎博士の記念館についてお尋ねします。 明治二年、山辺町にお生まれになった安達峰一郎博士は、山形中学の第一期生、苦学力行され、東京帝大法科から外務省へ。国際法の権威となられ、ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語に堪能。日露戦争のポーツマス講和会議では、小村寿太郎外務大臣全権大使の片腕として力を発揮され、ベルギー大使などを経て国際連盟の代表として活躍された。その際、国際連盟で活躍される安達博士を見た新渡戸稲造博士は、「安達の舌は日本の宝なり」と感服しております。国際紛争の平和的な解決のために高い見識を示され、正義と公平に基づく処理を行い、各国特に欧米列強大国のエゴから不利な立場に立たされておった小国から、尊敬と称賛を集めた。博士は「世界の良心」として高く評価され、オランダハーグの国際司法裁判所所長に最高点で当選している。パリに晩年在住したわけでありますが、藤田嗣治画伯初め芸術家とも親交があったのであります。 博士が昭和九年に六十五歳で亡くなられたとき、オランダは国葬としてその死を悼み、国際貢献、世界の平和に尽くされた御功績をたたえられました。博士は、現在でも世界じゅうの人々から称賛されて、日本の誇りであり、いわば国際法における「坂の上の雲」。諸外国から贈られた多数の勲章は、博士の人望の厚さを物語っております。 昭和三十五年、パリを引き払って帰国された鏡子夫人は、博士の平和に対する遺志を継いで、時の山形県知事安孫子藤吉さん、豊島二二夫さん、伊藤五郎代議士等々の支援・奔走で、東京四ツ谷に財団法人安達峰一郎記念館を開設したのであります。この財団には、山形県知事が理事として参画。国際法関係の優秀な論文を執筆した研究者に、毎年、安達峰一郎記念賞を授与、若手の育成を図っております。山形市出身の大沼保昭東大教授もそのお一人であります。 これほどの偉人でありながら、日本全国はおろか郷里山形県においてすら、ごく限られた人にしか知られておりません。激動する国際社会の過酷な現実に直面し、日本の進むべき道が問われている現代こそ、博士が唱えた法と正義による世界の支配の重要性が求められているのであります。博士の偉業を世に普及し、日本の将来を担う青少年たちにその生きざまを伝え、博士の精神をこれからの日本のために生かしていくことは、二十一世紀の私たちの使命ではないでしょうか。 記念館には、未整理の大変貴重な資料が膨大に残っている。そのほとんどはフランス語だそうであります。東京の記念館にお願いして生まれ故郷の山辺に関連資料を展示し、博士を顕彰する分館はつくれないものでありましょうか。毎年県下の小・中学校の生徒さんが見学、我が郷土からも世界のために尽くされたこういうすばらしい偉人が出ているという誇りを持つことができます。国際化時代の子弟教育として最も大切なことと思いますが、いかがでしょうか。 平成十四年二月、三年前に、文翔館ギャラリーで約一カ月近くにわたり安達峰一郎展が開催されました。数千人を超す入場者があったそうであります。山形県に記念館を持ってくるまでに幾らかの時間はかかるでしょうが、実現するまで毎年文翔館でこのような安達峰一郎展を開催し、世界に羽ばたいた山形県人として再評価されますよう取り組むことも可能なことかと思います。知事のお考えをお尋ねしたいと思います。 最後に、快適で安全な街づくりについて池田土木部長にお尋ねいたします。 山形新聞の二月二十三日の社説には、流雪溝は上下水道に肩を並べるほどの重要な生活基盤となり得ると書いてありました。流雪溝が整備された大石田町の声を聞きますと、大変有益であるということを聞いております。 一方、流雪溝を有効に活用するには、住民の方々が利用時間とか利用方法を取り決めてしまわないと、雪が詰まってあふれてしまうと言われております。住民と行政が一体とならなければいけないと、また、除雪車が来ないとか玄関の前に雪の塊を置いていったとか、役場や市役所に電話をすればそれで済む、解決できる問題ではなくなると、住民みずから役割を果たすと、ともに働く、協力して働く、協働であります。 都市整備の面から見ると、山形市は最も県庁所在地の中で発展途上にある県都であることは否めない事実であります。この山形市は、最上や置賜に比べ雪も少ないのでありますが、流雪溝を整備すれば多くの市民が大きな利益を得るものと思われます。幸い、山形には五堰があり、それらを活用して導水することは可能であります。水利権の問題とか東西に急な勾配のある山形の地形などはよく勘案しなければならない問題でありますが、これはすぐ実現する問題でもないと、しかしながら、県都山形街づくり百年の大計のもと、大胆な発想を期するものです。ぜひ検討していただきたいと思っております。 このたび当選された齋藤知事の初登庁の朝、胸に熱い決意を秘め、御子息と新雪を踏んで徒歩で県庁まで来られたと、ほほ笑ましい光景であります。東原の御自宅から山形停車場松波線を南高前から附属小学校、中学校、そして県庁まで歩かれたことと思います。バイパスまでは雪もなく歩きやすかったと思いますが、無散水消雪が未整備なバイパスから上は、御子息の足元を気にしながらの初登庁ではなかったでしょうか。県内でも無散水消雪の歩道の整備が進み、冬期間でも転ばすに安心して歩け、ショッピングや散歩に出かける人を多く見かけるようになりました。大変喜ばしいことでありますが、まだまだという感もあるのであります。 除雪体制は年々強化され、除雪レベルも向上していると思うんでありますが、住民の方々の冬期間の生活の利便性の確保に対する要望も多岐にわたるとともに、求められるサービスレベルも年々高まっております。 初めて道路管理者として冬を過ごされた池田土木部長に、御苦労した点を含め、道路除雪の課題と今後の方向、また雪国ならではの社会資本の整備についてどのような御所見をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。 以上、私の質問を終わらせていただきますが、一言申し添えさせていただきますと、本日この本会議場に御参席の方々こそ、前例に縛られず、あしき慣習・形式主義に流されることなく、それぞれの社会的な使命を原点に返ってもう一度確認して、本来の目的を達成すべく蛮勇を振るう覚悟で当たれば、必ず齋藤知事の掲げている目標、理念、理想は達成されると信じるものであります。県庁が変われば山形が変わる。特に、県職員の方々は、町内会活動、隣組とか、地域社会に溶け込んで、町区、学区の活性化、振興の中枢になっていただきたいと、このように要望申し上げて、私の質問終了させていただきます。 ○議長(松浦安雄君) 齋藤知事。 ◎知事(齋藤弘君) 澤渡議員から私へは三点の御質問がございましたので、順次お答え申し上げます。 まず第一点目、教育県山形の再建についてに関するお尋ねでございました。 人材の育成、すなわち教育は、本県の発展にとって基盤中の基盤であり、その重要性につきましては論をまたないところであります。特に、停滞感や閉塞感が広がる現在においては、教育の見直しと重点的な展開がますます求められるのであります。その場合、私は、求められる人間像のビジョン、子供像をしっかりと描くこと、そして、それをみんなで共有することが大切だと考えております。もちろん私一人で描くべきものでありませんが、教育行政という立場からは、子供たちにはしっかりとした勉強とともに、倫理観や勤労観、お年寄りや幼い子供たちなど、人間、命を尊重する心、一生を通じて学び続けようとする意欲、社会の中で役割を果たしていこうとする前向きの心をぜひとも持ってほしいものだと考えております。 具体的な展開は教育委員会の所管ではありますが、私の考えといたしましては、まず一つは、教育の質を向上させていく必要があると考えます。採用のあり方の改善も必要でございますし、さらには節目節目で行う教師に対する研修を見直すことも欠かせないと思います。その中では、単にティーチングのハウツーだけではなくて、社会力や使命感の向上、地域との協働などの新たな視点を含めたフォローアッププログラムを策定し、魅力ある教師づくりを進めてまいります。 二つ目は、教育ネットワーク強化のもと、新たな教育プログラムの展開であります。すなわち、まずは、家庭と学校、地域、三者の結びつきをよりしっかり、より円滑にし、教育の総合力を高めることが重要であります。学校教育の充実とともに、家庭や地域コミュニティーにおける教育・教育姿勢を豊かに展開してまいりたいと考えております。家庭では親としての厳格さ、優しさ、地域コミュニティーにおいては大人が子供の成長を見守る温かさ、そうしたものでしょう。具体的には、山形のよき生活文化、知恵や伝統芸能など教え合い学び合う「山形ふるさと塾」を各地に設け、「育み合い」のネットワークを形成いたします。幼稚園や保育園、小・中・高校それぞれに生きる力を身につけられるよう自然野外体験、社会体験、仕事体験など、体験学習のプログラムを組み込んでまいりたいと考えております。 三つ目は、教育ステージのスムーズな移行であります。すなわち、幼稚園から小・中・高校と進むステージのつながりをよりよくしていくために、まず人生の基礎を形成する保育所や幼稚園などにおける幼児教育を重視することが大切であります。幼稚園や保育所や小学校、小・中、中・高の連携を強化し、教育ネットワーク全体の教育力を高めてまいります。と同時に、教育ステージ間に生じやすいいじめや不登校など、心の問題についてのケアを進めるスクールカウンセラーの配置などにも努めてまいる所存であります。 いずれにいたしましても、教育は人なり、人は学歴ではなく学習歴であります。生涯学ぶことを怠ることのないよう、家庭と学校、地域コミュニティーが一体となって、あすの山形、日本を担う人材育成にしっかりと取り組んでまいる所存であります。 続きまして、県民の安全安心と危機管理についてのお尋ねでございました。 台風や地震などの大規模な自然災害を初め、SARSなどの新しい感染症の発生、国際的テロへの懸念、食品の安全対策、さらには有事法関連の武力攻撃事態の対応など、行政が果たすべき危機管理は、広範囲にわたり重要性が一層高まっております。私は、県民の安全安心を確保していくことが行政の基本的責務であると考えております。そのため、安全安心の対応が遅滞なく実行し得るよう、本県の危機管理態勢の構築を早急に進めてまいります。特に、危機管理にとって初動が重要であります。予想し得ない緊急事態の発生に際しても、トップとしてスピーディーにタイムリーに意思決定を行い、対策を素早く指示できる仕組みづくりが不可欠であります。このためには、まずもっていかに迅速に精度の高い情報を収集できるかが極めて重要なかぎになります。日ごろから職員の危機管理意識の高揚を図ることはもとより、広範囲な情報網を張りめぐらせて、執務時間外においても精度の高い情報がトップに迅速に集約される情報管理システムづくりを進めてまいります。 また、緊急事態への対応においては、国、市町村を初め、警察、自衛隊など関係機関との連携、さらには各地にある自治防災組織の育成と自治防災組織間同士、そうした組織間の連携、また、そうした組織と行政組織の連携などが重要であります。それぞれの役割・機能分担を明確にして、連携を一層強化してまいる所存であります。 特に、有事関連の国民保護法に基づき、本県でも国民保護計画の策定が進められておりますけれども、武力攻撃事態や大規模テロなどの緊急事態においても、トップとしてのスピーディーな判断により、県民の安全安心を最大限に守ることが責務であると認識いたしており、国、市町村、関連機関と十分に連携・調整を図り、危機管理態勢には万全の体制で臨む所存であります。 最後に、安達峰一郎博士の記念館と顕彰についてのお尋ねでございました。 安達峰一郎博士については、外交官として、国際司法裁判所所長として、日本の発展と国際社会における地位向上に貢献し、また国際会議における各国間の調停や国際紛争の平和的解決に傑出した功績を残された方であります。私も尊敬する郷土が生んだ世界に誇れる偉大な人物の一人だと思っております。 グローバル化の進展など、昨今の社会経済情勢の急激な変化の中で、世界の中の山形として、日本が、世界が評価するこれからの山形を考えて行動していくためには、ふるさとのよき伝統を受け継ぎ、山形の新しい価値の創造を担っていける人材の育成が不可欠であります。そのためにも、世界を舞台に活躍された安達博士の御功績を再評価し、本県のあすを担う青少年に広く伝えていくことは重要なことであると認識いたしております。こうしたことから、文翔館を活用して、県民はもとより県外から来館される方々にも広く紹介し顕彰できる方策がないかどうか、財団法人安達峰一郎記念館の意向も踏まえながら、これから検討してまいりたいと考えております。 なお、地元山辺への記念館設置につきましては、財団法人安達峰一郎記念館の理解と協力が必要でございますので、私といたしましても機会をとらえ、お話をしてまいりたいと考えております。 以上であります。 ○議長(松浦安雄君) 池田土木部長。 ◎土木部長(池田隆君) 快適な街づくりについての御質問でございます。 私、二十五年ぶりに山形県で勤務しているわけでございますが、以前勤務していたときと違い、ことしは大雪のため毎日の公舎の雪かきで、雪を捨てる場所をどのように確保するかといったようなこととか、県庁までは三十分かけて徒歩で通勤していますが、雪で歩道が通れなくなる場所が出てまいりまして、やむなく通勤経路を変えるといった多少なりとも苦労は感じておるところであります。 道路の除雪につきましては、除雪機械の整備充実等により、今年の大雪にあっても県管理区間においては大きな交通障害もなく、道路交通の確保がされているものと考えております。しかしながら、都市部における除雪サービスレベルの確保や、機械除雪後の排雪作業との連携、また歩道除雪区間の延長などの課題がございます。これらの課題解決の方向としては、議員御指摘のように、地域住民との協働によるきめ細かな除雪の仕組みづくりが必要であり、小型除雪機械を地域に貸与し、歩道除雪を担当してもらうなどの取り組みを進めるとともに、効率的な除雪方法についても調査研究を進めてまいりたいと考えております。また、流雪溝、あるいは無散水方式の消雪等については、その効果については十分承知しておるところでありますが、一方で、事業化を図るためには安定した用水の確保のほか、地域住民と行政が一体となってのルールづくり、また維持管理費の増加など、解決しなければいけない課題があることも事実でございます。 いずれにしましても、雪国での社会資本整備につきましては、多様化するニーズにこたえられるよう地域住民との協働という視点から、その地域に合った消融雪対策に努め、雪に強く、快適で安全な生活空間の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○議長(松浦安雄君) 日野教育長。 ◎教育長(日野雅夫君) 私に四点御質問ございましたので、順次お答え申し上げたいと思います。 まず第一点目が、学校における危機管理という御質問でございます。 近年、児童や生徒が被害者となる犯罪でありますとか、学校現場が舞台となる事件が多発いたしまして、大きな社会問題となっております。こういう事態につきましては、本県におきましても決して例外ではありません。声がけ事件でありますとか、傷つけ事件が数多く発生しておりまして、今年度の場合、小・中・高校合わせて八十八件報告されているところであります。教育委員会といたしましては警察や防犯協会と連携いたしまして学校安全マニュアルを本年度作成いたしまして、十二月に配布をいたしますとともに、教職員対象の研修会の開催でありますとか、県内一斉の学校安全強化旬間というものを実施するなど、さまざまな取り組みを行ってきております。また、各学校や各地域におきましても、警察との連携を図りまして、子ども見守り隊、あるいはパトロール隊による学区内の巡回、防犯訓練の実施など、それぞれの実情に即した取り組みが進められているところでございます。 議員御指摘のように、学校の安全管理と開かれた学校づくりというのは、目的が異なるところがございますけれども、いずれも重要な課題だというふうに認識しているところでございます。これら二つのことが相反することのないように、学校教育の多くの場面で保護者や地域の方々から参加いただける機会を設けながら、地域の子供を見守るそういう環境づくりを進めまして、家庭、地域、学校が一体となって心が通じ合える温かい人間関係づくりに進んで取り組んでいくこと、それこそが学校の危機管理となるものでありまして、学校の安全対策として重要な課題であるというふうに思っております。 二番目に、ジェンダーフリー教育と男女混合名簿という御質問でございます。 今年度の場合、小規模・中規模校を中心に県内の義務教育でいいますと二五%、先ほど議員の方からもありましたけれども、小学校で三〇%、中学校で一七%の学校で男女混合名簿が使用されております。この割合は、前年度と比較いたしまして大幅にふえているという状況にはありませんで、特に男女混合名簿を推進しているというような状況にはないように受けとめているところでございます。また、本県の学校教育における男女の協力、あるいは男女の分業にかかわる教育につきましては、それぞれの特性を生かし、日本人が長い間培ってきた日本的文化の蓄積にも十分配慮しながら指導がなされているものと認識しております。また、その中で、行き過ぎた指導がないように教育に当たるという基本姿勢は、これまで同様進めていきたいというふうに考えております。 今後とも、「男女は平等、されど異質」ということを基本に据え、男らしさ女らしさを大切にしながら、学校でも、家庭でも、地域でも、それぞれの立場でそれぞれの役割を果たしていけるように適切に指導してまいりたいというふうに考えております。 三番目に、過激な性教育と若者の性の健康についてという質問でございます。 今日、雑誌を初めとするさまざまな媒体から性情報がはんらんしておりまして、このはんらんに日々子供たちがさらされているという状況にございます。そういった意味で、子供たちをめぐる環境は非常に危険な状態にあると言わざるを得ないというふうに思っております。こういう危険な状況のもと、子供たちが正しい判断力を持ち、成人への移行期である不安定な思春期を健全にスムーズに通過できるように指導することが必要であるというふうに考えております。 今年度取り組んでおります中学校、高校の教師用指導資料、「性といのちの学習の手引き」の作成に当たりましては、倫理観、道徳観及び自尊感情の育成と人間としての価値ある生き方を指導するための内容というものをしっかりと盛り込むことで作成を進めているところであります。また、性教育の位置づけといたしましては、第五次山形県教育振興計画で掲げる「いのちの教育」における体育やスポーツ、食に関する指導、読書、自然体験や社会体験等とともに、いのちの尊厳と生き方を指導する教育の一つというふうにとらえているところであります。 各学校においては、家庭、地域、関係機関等との共通理解と連携を図りまして、よりよい生き方を目指し、発達段階に応じた性教育が実施されるよう指導してまいりたいと考えております。 最後に、歴史教科書と青少年の歴史認識についての御質問でございます。 歴史教育につきましては、子供たちが日本や世界の諸事情に関心を持って多面的に考察し、我が国の国土や歴史に対する理解と愛情、国際協調の精神など、社会の中で主体的に生きる資質や能力を育成しまして、自分のアイデンティティーをしっかりと確立できるようにすることが大切であるというふうに考えております。歴史教科書もこのような考えのもと、全体として調和をもって編集されているというふうに理解しております。特定の教科書の特定の記載のみでは、内容の是非についてはなかなか判断しにくいところがあるというふうに考えております。 教科書で取り上げるべき人物につきましても、我が国の歴史を多面的に考えられるよう考慮されているというふうに理解しております。例えば、中学校の歴史教科書では記載のない東郷平八郎や野口英世という人物につきましても、小学校の学習指導要領では取り上げるべき人物として例示されて教科書に記載されているなど、義務教育全体を通じて一貫した歴史教育がなされるよう配慮されているように理解しております。 今後とも、客観的事実に基づいて歴史的事象や人物に対する幅広い見方や考え方を身につけさせることを大切にしながら、未来を切り開く、生きる力に結びつく歴史教育が推進され、健全な歴史認識が育つように指導助言してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○議長(松浦安雄君) 二十七番澤渡和郎君。 ◆27番(澤渡和郎君) それぞれのお立場がありますので、教育長あなたの本当の心、本心語ってみろやと、聞く方がやぼみたいな話なんですけれども、しかし、日本の現状、青少年の実態を見るにつけ、そんなこと言っていられない、大変な、このままいったら日本は中から滅びていくんじゃないかというような危惧する声が各方面から上がっているということであります。 すべて物事には原因があって結果として出てくる、結果がこう出たらやはりそれについて原因はどうなのかと、英知と情熱で新しい時代の山形県を、新しい県知事のもとに皆様方協力してつくられますことを心よりお祈りしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(松浦安雄君) 以上をもって通告者の発言は全部終わりました。 質疑及び質問を終結いたします。 △議第三十五号議案から議第百十六号議案まで(各常任委員会付託) ○議長(松浦安雄君) この場合、ただいま議題となっております議第三十五号から議第百十六号までの八十二案件は、それぞれ所管の委員会に付託いたします。〔参照〕 △(イメージ)常任委員会付託表(平成17年2月定例会) △日程第八十四請願 ○議長(松浦安雄君) 次に、日程第八十四請願を議題に供します。 本件についても、願意の内容審査のため所管の委員会に付託いたします。 ○議長(松浦安雄君) 以上をもって本日の日程は終わりました。 明五日から十日までの六日間は休日及び委員会審査のため休会とし、十一日定刻本会議を開き、各常任委員長より審査の経過と結果について報告を求めます。 本日はこれをもって散会いたします。         午後一時五十九分 散会...